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永井荷風の生活革命 岩波セミナーブックスS9
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2009/12/03 |
JAN | 9784000280594 |
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永井荷風の生活革命
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商品レビュー
4.6
5件のお客様レビュー
1月にshokuzaisettoさんのレビューを読んで取り寄せた。おっしゃる通り、「爽やかな読後感」だった。 1959年没の永井荷風を、同年に生まれた気鋭の文学研究者が、没後50年を記念して出した教養セミナーの記録である。刊行13年後の現在、ここで取り出された荷風の姿は、益々現...
1月にshokuzaisettoさんのレビューを読んで取り寄せた。おっしゃる通り、「爽やかな読後感」だった。 1959年没の永井荷風を、同年に生まれた気鋭の文学研究者が、没後50年を記念して出した教養セミナーの記録である。刊行13年後の現在、ここで取り出された荷風の姿は、益々現代的なテーマを内包していた。 荷風は、その文士業の最初から女性の精神的自立をテーマにしていた(第一章「女性の自立の物語」)。 荷風は、敢えて子どもは持たない主義をとっていた。偏奇館という独身用の家を建て、シングル・シンプルライフを実践する(第二章「個と孤の生活誌」) 荷風は、庭を愛した。それは観潮楼の鴎外邸との意外な関係もあった(第三章「荷風の庭」) 荷風は、大逆事件の世相の中で『暴君』を執筆した。また東京の民俗誌とも言える『日和下駄』、滅びゆく敗者の芸術として『江戸芸術論』を執筆した。これは交流のあった鴎外の『沈黙の塔』『かのように』と時期を一にし、「平地民をして戦慄せしめよ」と唱えた柳田の『遠野物語』またはその前の『後狩詞記』とも相照する。鴎外日記を見ると、この3人が相見えていた可能性は非常に高い。それは青年が成長する近代主義に対して、老年の豊かさを見ていた荷風の意識とも通じるだろう(第四章「老いと死の意識」)。 それぞれが、とっても刺激に富んだ論考だった。『江戸芸術論』(18.09レビュー)『つゆのあとさき』(16.02レビュー)の読み直しが必要だろうし、初期小説『矢はずぐさ』、『日和下駄』も近く読みたいと思う。 独居していた老荷風は、晩年市川に住んでいて大黒屋という食堂がお気に入りだった。著者はそこのおかみさんから、亡くなる前日に荷風がカツ丼を食べにきたという証言を得ている。その健啖恐るべし。また、絶命したとき、傍に森鴎外『渋江抽斎』の本が開かれたままあったということは初めて聞いた。敬愛する鴎外を偲び、最後のメモリアル・リーディングに選んだのだろう、と著者。こういう最期をおくりたいと想う。
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岩波書店主催の連続講座を書籍化したもの。荷風の個人主義を女性の自立、シングルライフ、ガーデニング、老いという観点から読み直した1冊。爽やかな読後感だった。 本書が描く荷風は、イエに縛られない恋愛結婚を主張し、家事やガーデニングに勤しみ、進歩主義への叛旗として老いの大切さを語る人...
岩波書店主催の連続講座を書籍化したもの。荷風の個人主義を女性の自立、シングルライフ、ガーデニング、老いという観点から読み直した1冊。爽やかな読後感だった。 本書が描く荷風は、イエに縛られない恋愛結婚を主張し、家事やガーデニングに勤しみ、進歩主義への叛旗として老いの大切さを語る人物である。そして、荷風が影響を受けた人物として、意外な人たちも推定されている。 戦時下での『断腸亭日乗』の有名な一節、「心の自由空想の自由のみはいかに暴悪なる政府の権力とてもこれを束縛すること能はず。人の命のあるかぎり自由は滅びざるなり」(1941年1月1日)も、食料買い出しの苦労にも楽しみを見出そうとする心持ちから引き出されたことに、筆者は注目する。荷風の個人主義の強さは、それが生活に根差していたがゆえなのである。
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まったく新鮮な視点から永井荷風の一面をとらえた良書である。巻末の随筆集についての紹介も、いくつかぜひ読んでみたいと思う作品のことを知ることができた。
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