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月華の銀橋 勘定奉行と御用儒者
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2009/11/07 |
JAN | 9784062158572 |
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月華の銀橋
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通貨供給量操作といえばこの人!萩原重秀!悪評極まりない勘定奉行をスマートに描く。貨幣価値を下げたらやばいの?どうなの?そのヒントが隠れている。 珍しく新井白石が悪者で、萩原重秀が賢人扱いされていて、それだけでも読む価値がある。さすが元商社マン作家は観点が違う。 異次元の金融緩和を実行している2010年代後半の日本政府。金融緩和はインフレを引き起こして、日本経済を破滅させるとか、将来への税負担を増やして国の借金を重くするだけだと、散々悪く言われている。 しかし、2018年現在、金融緩和を始めてから4~5年たつが、別に悪影響は見えていない。どうしてか。その勉強の一環として萩原重秀の学習。 歴史上、貨幣価値の操作を行ったことで有名な一人である萩原重秀を読み解くことで、現代の経済問題を評価してみたい。 江戸時代の鎖国下・農本主義経済と、現代の変動為替相場・グローバル資本主義経済では単純な比較はまずいけれど、勉強になることは多かった。 萩原重秀の貨幣改鋳が失敗だったように見えるのは、その後の物価高騰があるからだろう。しかし、時系列的に見てみると、そのころは元禄地震があったり、宝永の富士山噴火があったりで、自然災害の影響による物価高騰のほうが色濃い気がする。もし天変地異がなければ、緩やかな物価上昇で、単純に庶民の給与水準があがってGDP上昇になっていたんじゃなかろうか。 もう一点、萩原重秀の貨幣改鋳をしても幕府財政が改善されなかったから評価が低いのか。それは綱吉の無駄遣いが過ぎたからであろう。生類憐みの令による犬の食費、寺社仏閣の造営費、近習への御成による接待交際費、幕僚を減らさないから人件費による圧迫、、、これらのせいでどんなに重秀がんばっても均衡財政は達成されなった。この物語ではその重秀の苦悩ぶりも良く描かれている。 でもそのおかげで、改鋳の差益を市中にバラマキができて、市場の貨幣不足は改善されたのかなと思う。まさに量的緩和と財政出動。 これで痛手を受けたのは守銭奴ごとく金を蓄えていた商人であるが、この経済活発化で承認も利益拡大ができるんじゃなかろうか。 目先の利益ではなく、国家全体の経済発展による利益拡大。それを達成できたのは、萩原重秀のおかげであり、それに少なからず影響を与えた、河村瑞賢のおかげだったのだろう。 現代日本でも、守銭奴のごとく金を蓄えてしまっている者たちがいる。高齢者のたんす貯金。企業の内部留保。株主の投機資金。 これらの止まった金融の流れを動かして、市中に資金が回るようにしたいんだが、、、 でもグローバル経済と化した現代社会では、その金が低賃金な外国人労働者に行ってしまう。または、結局資金を吐き出しても、企業は内部留保をさらにため込んで給与に反映しない、社会保障費の整理をしないから財政赤字は減らない。 いまの金融緩和は重秀の頃とは違う形で足を引っ張られてうまく機能していない。いつの時代でも貨幣価値を操作するのはコントロールが難しくて困る。みんながきちんと動いてくれればうまくいくのに…。あーあ、みんなお金使っていこうぜ。お金を動かしていこうぜ。
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