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逍遥の季節
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2009/09/18 |
JAN | 9784104393046 |
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逍遥の季節
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商品レビュー
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今回の作品は江戸で生きる女たちを描く芸道短編集。 『細小群竹』が特に良かった。 口減らしのため住込みで髪結いの修行に励む「すず」に、実家の窮乏により、7才の弟が金の無心に訪ねてくる場面から始まる。その実家には、酒浸りの父と努力はしてるが無力の母、弟妹の6人暮らし。そんな両親に苛立...
今回の作品は江戸で生きる女たちを描く芸道短編集。 『細小群竹』が特に良かった。 口減らしのため住込みで髪結いの修行に励む「すず」に、実家の窮乏により、7才の弟が金の無心に訪ねてくる場面から始まる。その実家には、酒浸りの父と努力はしてるが無力の母、弟妹の6人暮らし。そんな両親に苛立ちを覚え不満に思っていたが、父の病に至る経緯を初めて母から聞き事情を飲み込む場面は、読んでて『ほっ・・』とした。今まで非難ばかりしていた「すず」は、夫婦の思いやりや父の強さを理解する。 そしてラストの早朝の場面。師匠とともに向かう際、震えそうになり頭によぎったことは、今まで心の負担しか感じなかった家族が「心の支え」と感じるところは清々しかった。 底辺を生きる人々を描き、決してハッピーエンドにはならないが、生きる力を与えてくれる。時代小説は泣かせますね。
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父に進められて。 さらさらと清澄な水のような文章で するすると読み進められた。 江戸時代という感じはあまりしなかったが、 芸事に生きる女性たちがいきいきと魅力的だった。 特に「竹夫人」と「細小群竹」がすき。
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「江戸時代を舞台にした、これは現代小説では」 それぞれの境遇に思い悩みつつも、三味線、茶の湯、画や髪結、糸染めに活け花と芸事をよすがとして強く生きる女性たちを描く。「竹夫人」「秋野」「三冬三春」「夏草雨」「秋草風」「細小群竹」「逍遥の季節」7編収録。 思わず耳を澄ませたくなる...
「江戸時代を舞台にした、これは現代小説では」 それぞれの境遇に思い悩みつつも、三味線、茶の湯、画や髪結、糸染めに活け花と芸事をよすがとして強く生きる女性たちを描く。「竹夫人」「秋野」「三冬三春」「夏草雨」「秋草風」「細小群竹」「逍遥の季節」7編収録。 思わず耳を澄ませたくなる、静謐で奥行きのある文章だ。中でも舞台として再三描かれる隅田川、いわゆる大川の風情が素晴らしい。例えば夏の昼下がり。 「乾山の墓参を済まして浅草から小舟で東両国へ渡ると、暑い日で川岸の通りには葦簀張りの出茶屋や風鈴売りが出ている。陽の暑さに耐えかねて昼下がりの往来に人影は少なく、大川の橋も寂しいくらいであった。(「夏草雨」)」 その夕景ともなれば 「隅田川の岸辺の酒楼に明かりが灯ると、心なしか晩夏の熱も薄れて、やさしい風が流れる。あたりには数奇屋風の店が並んで、暗くなるほど川べりは華やぐ。(「竹夫人」)」 ところが、これだけ江戸情緒たっぷりな物語の舞台にあって、そこに描かれる人々にいっこうに江戸という時代性が見えてこない。登場人物の考えること、そこから発せられる言葉がいかにも現代のものなのだ。ここにいる人々が、髷を結い鉄漿を施しているようにはどうにも思えない。 そのことが最も強く感じられたのは「秋草風」の萌だ。彼女は実直だが旧弊な農家の主婦の暮らしに生きがいを見出せず家族を捨てて、今は糸染めを生業とする独り身である。その萌に馴染みとなった近所に住む細工師・周蔵が求婚する。周蔵もまた結婚に失敗した口。人に求められる嬉しさを感じながらも、仕事を持つ女の結婚というものについて、萌の気持ちは逡巡する。 「あのねえ、女が好きな仕事をするには犠牲がいるのです、家事や家族や義理や女らしい幸せ、子供の成長を見る愉しみや着飾る贅沢もそう、そこにあなたを加えてうまくゆくはずがありません」 「だったら、はじめにそう言ってほしかったよ、ここまできて引き返せるわけがない、やってみて駄目なら仕方ないが、何もしないうちから無理だと言われても困る」 彼女たちの抱える悩みが昔も今も変わらぬ為か、芸事の世界が普遍的だからなのか、あるいは著者の時代を突き抜けた人物描写の成せることなのか。いずれにしても、舞台を江戸に変えた現代小説を読むような不思議な感覚だ。
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