未亡人女将の宿 陶酔 フランス書院文庫

河里一伸【著】

• 販売会社／発売会社: フランス書院
• 発売年月日: 2009/08/26
• JAN: 9784829616628

商品レビュー

2009/11/27

風情ある舞台でのレトロなストーリー展開

[ＤＳＫ]

ひなびた旅館を切り盛りする美人女将に義娘と実娘、しかし夫の死去から旅館は傾き、借金先の強欲男に狙われていたところに現れる主人公という何ともレトロな風情というか昭和チックなテイストを醸す作品である。訳ありな一人旅の途中に偶然立ち寄った主人公が、これまた偶然にも調理師だったことから「流れ板」よろしく旅館を立て直していくストーリーを軸に、女将とのロマンス的情交と義娘や実娘の「初めて」が描かれる。女将を狙う強欲男による寝取られはなく、三文芝居と言っては可哀想だが、主人公咄嗟の活躍で連れ去られるのを阻止して晴れてゴールインである。血縁の有無や先を越された嫉妬などで遠慮したりギクシャクしたりしながらも最後は円満解決して主人公と女将を祝福する娘２人という「ゴールイン」でもあるのでハーレムエンドにはならない。要はいろいろなドラマや事件を盛り込んだハッピー物語であり、読み物としても相応に面白いのである。この流れなのでメインは当然女将となる。お淑やかで上品な和装美人ながら７年の空閨に我慢できず自慰に耽ったりするギャップが魅力で、主人公を意識するあまり辛抱たまらずおねだりしてしまうのが最初の風呂場での情交である。亡夫への操から一度きりと思うも却って昂ぶりを覚えてその後も関係を続けて情が移っていくのが良い。調理場や客間といった「いけない場所」で、情交の度に体位に変化をつけるのがいやらしく、亡夫では得られなかった未知の愉悦に絶頂を重ねる女将が、旅館だからと声を我慢するもやっぱり大きく喘いでしまい、それに戸惑う主人公である。勝気な割にウブな義娘や耳年増な実娘も悪くないし、女将＋義娘や義娘＋実娘といった３Ｐもあるのだが、淫らスイッチが入ってからの積極さや大人の色気も抜群の女将にはどうしても及ばないところがあるし、生娘２人も要らないなぁ、という感じもしたが優しい雰囲気の良作である。