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62のソネット+36 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2009/07/16 |
JAN | 9784087464597 |
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62のソネット+36
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商品レビュー
4.4
13件のお客様レビュー
作者は22歳の時にこの詩集を発表した。僕はもうすぐ40代になろうとしているが、この詩集の中には今まで触れたことのない表現、そして理解し難いがゆえに、その奥に潜む感情をぼんやりと眺めることができているような、そんな言い回しの一節が一行毎に書かれている。隠微、寂寥などのあまり馴染みの...
作者は22歳の時にこの詩集を発表した。僕はもうすぐ40代になろうとしているが、この詩集の中には今まで触れたことのない表現、そして理解し難いがゆえに、その奥に潜む感情をぼんやりと眺めることができているような、そんな言い回しの一節が一行毎に書かれている。隠微、寂寥などのあまり馴染みのない言葉に出会うたびに自分の語彙力の無さを痛感する。しかし、紛れもなく何度も読み返したくなる詩集だ。
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著者のあとがきによると、収められている98篇の詩は、すべて同じ形で書かれていて、それを欧米の詩形に倣ってソネットと呼んだそうです。 五十数年前の青春と二十一世紀の青春との間に、大きなへだたりがないことを願っていると結ばれています。 集中して読まないとわかりにくい、抽象的なことば...
著者のあとがきによると、収められている98篇の詩は、すべて同じ形で書かれていて、それを欧米の詩形に倣ってソネットと呼んだそうです。 五十数年前の青春と二十一世紀の青春との間に、大きなへだたりがないことを願っていると結ばれています。 集中して読まないとわかりにくい、抽象的なことばで、できている少々難解な詩が多いようにかんじました。 「23」の雲という詩が心に残りました。 巻末に川村和夫さんによる、全英訳付きです。
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とにかく必死で生きてこられたのだと思ふ。哀しい。硬質で透明な、自分であらうとして、そのくせ書くことで自分を慰めてゐた。 何かが、何もかもが、彼の手からこぼれおちていく。何もとどまるものなどないと知つてゐるといふのに、通り過ぎていく何もかもに、哀しんでしまふ。分かちあふことなど不可...
とにかく必死で生きてこられたのだと思ふ。哀しい。硬質で透明な、自分であらうとして、そのくせ書くことで自分を慰めてゐた。 何かが、何もかもが、彼の手からこぼれおちていく。何もとどまるものなどないと知つてゐるといふのに、通り過ぎていく何もかもに、哀しんでしまふ。分かちあふことなど不可能だといふのに、誰かを無性に求めてしまふ。 このやりきれないせめぎ合ひの中にあつて、彼は歌ひ續けた。昨日も今日も、そして、明日も。声が、音が、彼の身体を満たす。歌ふことで、ささやかな安らぎと眠りが訪れる。けれどまた、襲い來るとめどない感情(こころ)の嵐。 かうして繰り返して、生き続けてしまふ。眠つたからには覚めねばならぬ。生きてゐるといふことのまぶしさに耐え続けなければならぬ。 この詩集に書かれたものたちは、そんなため息に似てゐる。書いても書いても溢れてきてしまふ心に、形を与へやうとして、ひとつのSonnet(かたち)にのせた。無力だと知りながら、静かに。 だから、この詩はもはや死んでゐる。彼の青春のひとつの墓標だ。もはやこのやうな詩を今また書かうとしても、彼はもはやこのやうに書くことはできないだらう。それ故に、惜しみなく彼はこれらの詩を愛してやまないのだ。 どこまでも世界はこの自分を超えてゐるからこそ、自分といふものの限りない世界が在ること、自分ではないといふ限りない世界を、求め愛してしまふ。生きることへの頌歌は、生きることを引き受けるといふどこまでも哀しい哀惜の歌だ。それを傍で耳にしてくれるひとがいるといふなら、こんなに幸福なことはないだらう。
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