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自分自身への審問 角川文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 角川書店/角川グループパブリッシング |
発売年月日 | 2009/06/25 |
JAN | 9784043417100 |
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自分自身への審問
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商品レビュー
4.5
6件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初読。病に倒れる前と後で辺見庸は変わったのか。考えることににブレがないから変わらないともいえるし、切り捨てる、突きつける刃の鋭さがいよいよ増していて、変わったともいえる。自らに迫る刃の鋭さがますます容赦ないことにも驚嘆する。死を前にしてなお強靭な姿勢には平伏するしかない。
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「死、記憶、恥辱の彼方へ」と「狂想モノローグ」、「自分自身への審問」がずば抜けて良かった。死の淵に近づき、あるいはそばで触れ合うことで磨きぬかれ表層を粉砕し闇へと迫る思索。見ることについて、あるいは、異界について、生きる意味についてこの上ないほどに誠実に考え抜いている。衒いに率直...
「死、記憶、恥辱の彼方へ」と「狂想モノローグ」、「自分自身への審問」がずば抜けて良かった。死の淵に近づき、あるいはそばで触れ合うことで磨きぬかれ表層を粉砕し闇へと迫る思索。見ることについて、あるいは、異界について、生きる意味についてこの上ないほどに誠実に考え抜いている。衒いに率直であるほどに衒いがない思索は心を掴んで離さない。 ただ、それが政治的イシューになると切れ味が落ちるという印象。仮に資本主義やら何やらを批判しさっても、それがどうにかなるわけではない(思索は個人を変えうるにしても、政治にはならない)。それで政治嫌いなのかもしれないけれど。 ともかくこの書き手には延々と付き合う必要がありそうだ。
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ドキュメンタリー作品「もの食う人びと」が面白かったので、 それにつられて、何となく買った作品。 が、内容は世界各国で記号化された土地を わざわざ訪問したリアリティと博愛が混在する同じ著者とは思えないほど、 次々と研ぎ澄ました刃で自傷するかのような暗鬱な内省を展開している。 「...
ドキュメンタリー作品「もの食う人びと」が面白かったので、 それにつられて、何となく買った作品。 が、内容は世界各国で記号化された土地を わざわざ訪問したリアリティと博愛が混在する同じ著者とは思えないほど、 次々と研ぎ澄ました刃で自傷するかのような暗鬱な内省を展開している。 「もの食う~」の取材から帰ったのち、脳出血と腸ガンを立て続けに患い、 文字通り、死と隣り合わせになった著者。 その半身不随の身体と記憶の多くを消失した脳みそで、 世界を、経済を、思想を、文化を、システムを、文学を広角な目線から批判し、 その批判の急先鋒にいつも著者自身の自己を据えている。 自分が自分を批判する構図。 本書を通じて挙証されるテーマは無数にある。 恐らくは、読んだ人の数だけ、解釈を許す多義性があるが、 僕が最も心惹かれたのは、文書を書く人間として「衒う」という営為。 この衒いが、必然的に、唯只管に自己を内面を見つめるだけの眼の存在を焙り出し、 「無自覚な罪障」と名付けた、自らの深い罪過のありようを見つめる。 内省によって新たな内省を求められ、その内省が別の内省を要請するが、 本当に最後の部分は、僕が読んでも書ききれていないと分かる。 けれど、その書ききれてない様も詳らかにすることで、 人間としての自己の浅慮と愛と虚無の混在する多面性を浮き彫りにしている。 「語ること、行うことの底方の不実」の罰は「生涯にわたる沈黙」。 どこまでも衒いがつきまとう。
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