ファイナリスト/M 講談社BOX

天原聖海【著】

• 内容紹介: //付属品～外ケース付
• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2009/05/07
• JAN: 9784062837071

商品レビュー

2015/02/23

平凡だけど善人ゆえ逸脱している主人公

[凪子]

たくさんの本を読んできましたが、この本は本当に平凡でありきたりだけど、それでも不思議と手放せない本です。
主人公が平凡で、今どきの草食系男子。肉食女子の天才姉と、姉の親友である魅力的な女性に長年の初恋を募らせ、嘘がトラウマゆえに大嫌い。
聡明で完璧な美形な探偵と出会い、自己を見つめ、二転三転する事件に翻弄され、流されるままに与えられた役割を葛藤しながら演じ、最後は怯えながらも核心に迫り犯人と対決する。
どこまでも平凡で王道。だけど、私は王道が詰まったこの小説が好きです。
シリーズ通して「人の異常な本質」がテーマに取り上げられている探偵小説です。
変わっている点では「機械のヒロイン」でしょうか(笑)

2013/01/13

「人間などというものは所詮は人間でしかなく、どこまでいっても「理想的な存在」などでは決してありえないということぐらい、理解をしていたはずなのに。結局、僕が僕自身を信じきることができなかったーそんな弱さが、この結果を招いたのだろう。「人間とはこうあって欲しい」という理想を自分勝手に思い描き、また身勝手に他の人間に投影した、そんな間抜けな行い対し、然るべき報いを受けたのである。」流水大賞がここまで完成度の高いものだったなんて。めちゃくちゃ面白かった！

2011/10/22

図書館にて。
初めての作家だったけれど、裏にあったあらすじに興味を持って続編と共に借りてみた。
序盤はなんかめんどくさくてくどい文章でなかなか物語が進まない気がしたけれど、中盤からあっという間。
中盤で普通の小説ならこれで終わりじゃないかと思うようなラストと思しき展開がたびたび出てきて、まだ先があることに驚いた。これほど二転三転する展開もすごい。その後の悲しい展開と未来のあるラストは素敵だった。お姉ちゃんのよくわからないすごさと意外と(笑)活躍する主人公も絶妙。