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資本主義の暴走をいかに抑えるか ちくま新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2009/04/08 |
JAN | 9784480064844 |
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資本主義の暴走をいかに抑えるか
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資本主義の暴走をいかに抑えるか
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商品レビュー
3.2
6件のお客様レビュー
神の見えざる手が必ずしも働かないとか、市場は効率的でも公正でもないと言うのは直観的に理解できるが、本書では史実やデータに基づき詳細に分析しており、より深い理解を得ることができる。 市場原理とは「持てる者」が益々リッチになっていく制度であり、そこには一定の規制が必要だと言うのが...
神の見えざる手が必ずしも働かないとか、市場は効率的でも公正でもないと言うのは直観的に理解できるが、本書では史実やデータに基づき詳細に分析しており、より深い理解を得ることができる。 市場原理とは「持てる者」が益々リッチになっていく制度であり、そこには一定の規制が必要だと言うのが著者の主張である。それが真反対に振れたのがアメリカの「証券化」資本主義であり、リーマンショックで揺り戻しがあったのは当然だとの分析は納得できるものである。 ではどうしたら良いのか、という処方箋になると途端に説得力を失う。曰く、①投機の規制とモラルハザードの抑制、②通貨・国際金融制度への規制強化、③ステークホルダー社会の実現、④セーフティネットの拡充、⑤自由放任主義との決別の5項目の対策が必要とあるが、いずれも「持てる者 」にとって不利益な方向であり、「持てる者」が社会制度を決めている現状ではこれらの実現は絶望的である。まさに絵に描いた餅だ。 現状を大きく変えるには「持たざる者」が革命を起こすしかないのかも知れない。そうだとしても旧ソ連や北朝鮮が行き詰った通り、そのような社会が理想的だとは到底言えず、結局は市場原理主義と社会主義をうまくバランスさせる、という何とも面白くない結論になるのだろうか?
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確かに正当な学者によるしっかりと書かれた本だと思った。大学の授業の副読本としてレポートの課題図書に適していそう。 社会人が読むには、ちょっとパンチが足りない気がします。 でも、最後の結論と提言(ほぼ小泉構造改革に対する全面否定)が良いから、☆一つ増やしました。
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本書は、資本主義市場経済におけるさまざまな諸課題についての体系的な本であり、おいそれと素人が論評できるレベルの本ではないと感じたが、その扱っている課題が専門的である割には読みやすく、理解しやすいとも感じた。現在の世界経済が抱える諸問題を的確に指摘した経済書であり、専門書にありがち...
本書は、資本主義市場経済におけるさまざまな諸課題についての体系的な本であり、おいそれと素人が論評できるレベルの本ではないと感じたが、その扱っている課題が専門的である割には読みやすく、理解しやすいとも感じた。現在の世界経済が抱える諸問題を的確に指摘した経済書であり、専門書にありがちなわかりにくい表現が少ない本であると高く評価したい。 今問題となっている「資本主義の暴走」についての歴史と原状を踏まえての全般的な考察は、素人が簡単に内容を紹介できるようなものではないと思うが、あえていくつか取り上げてみたい。 まず、市場経済の社会の解体作用についてである。19世紀中ごろのイギリスにおいては劣悪な労働条件で女性や児童を酷使することが一般化していたとされる。炭鉱や鉄鉱山で8歳前後の児童が毎日12時間も働かされていた。これでは健全な社会の維持が困難となり労働力の再生産自体が危うくなるとして「工場法」が制定されたという。市場経済には社会を解体する副作用があり、それを規制する「制度」が必要なのである。これは現在の日本において低賃金で苦悶する非正規労働者を見ても、説得力がある主張である。 1929年にアメリカからはじまった世界恐慌の分析も興味深い。現在の日本における「失われた20年」とよく似た構造があると感じたからだ。本書では1929年にはじまった世界恐慌の原因を「①労働者に不利な労使関係に基づく所得分配の不平等化、②アメリカ金融制度の不安定性、③再建金本位制の不安定性、④自由放任主義に基づく金本位制と均衡財政への固執」と分析している。いくつかは、現在の日本の状況とかぶるのではないか。 また、本書では、資本主義の黄金時代(1950年代~1960年代)から、日本の高度成長、黄金時代の終焉を分析している。データを駆使した専門的な論考だが、わかりやすく読みやすいと感じた。 本書では最後に「われわれが直面している課題」として4つをあげている。「アメリカ型証券化資本主義の破綻」「投機資金の国際的移動」「格差の拡大」「規制緩和」である。たしかに現在さまざまな社会的問題が新聞で取り上げられるが、突き詰めていけばその問題の根源は上記に収斂するのかもしれない。問題はそれへの適切な対処であるとは思うが、経済学と社会学の融合した視点が必要なのではないかとも思った。 本書は、読み終わってからも、もう一度読み直して理解をもっと深めたいと思える良書であると思う。
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