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私小説 from left to right ちくま文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2009/03/10 |
JAN | 9784480425850 |
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商品レビュー
4
25件のお客様レビュー
ほぼ事実と思われるが、その物語に引き込まれた。 日本からアメリカに渡った姉妹の今後の生活における葛藤や後悔、家族という呪縛、どれも私には馴染みのないものだけれど、なぜか自分のことの様に息をつめて読んだ。 サラリと書かれているが、時に文学的な美しい文章に出会いその巧みさにハッとする...
ほぼ事実と思われるが、その物語に引き込まれた。 日本からアメリカに渡った姉妹の今後の生活における葛藤や後悔、家族という呪縛、どれも私には馴染みのないものだけれど、なぜか自分のことの様に息をつめて読んだ。 サラリと書かれているが、時に文学的な美しい文章に出会いその巧みさにハッとする。 流れるような描写に時を忘れて読んだ。
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書いているまさに「今」の時点から過去を回想する。その筆は時間をゆっくりと時系列順にたどり「今」にたどり着く。そしてその「今」まさに書き手は『私小説 from left to right』を書いている……と「私小説」のセオリーをそのまま地で行く実に生真面目な作品。読み進めていてあま...
書いているまさに「今」の時点から過去を回想する。その筆は時間をゆっくりと時系列順にたどり「今」にたどり着く。そしてその「今」まさに書き手は『私小説 from left to right』を書いている……と「私小説」のセオリーをそのまま地で行く実に生真面目な作品。読み進めていてあまりにもダラダラ会話が続くのが苦痛に感じられた。これは実に「女性たち」の話なのだなと思う。日本のみならずアメリカも封建的な規範に縛られていた頃、その様子をマイノリティである日本人女性の目から暴いている。その観察眼は流石だが、やや退屈
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あのころはサラリーマンにとって海外転勤族というと華やかな、なにがなしうらやましい状況だった、家族にとっても。 でもたいがいは3、4年で帰国して学齢の子どもがいれば、せっかくかじったとて英語やドイツ、フランス語の補習にやっていたほど。その言葉がその後どうなったかは知らない。 ...
あのころはサラリーマンにとって海外転勤族というと華やかな、なにがなしうらやましい状況だった、家族にとっても。 でもたいがいは3、4年で帰国して学齢の子どもがいれば、せっかくかじったとて英語やドイツ、フランス語の補習にやっていたほど。その言葉がその後どうなったかは知らない。 『私小説』の主人公すなわち作家水村さんの親は帰る気が無く、わざわざ現地採用にしてもらい両親と姉妹ともども20年もアメリカに滞在してしまった。 それなのに本人は英語に慣れなくて、読む本は日本の、それも近代文学ばかり。言葉ばかりではない、30超えてまだ大学院生。去就も行く末も定まらず、悩み愁いに染まって降る雪を見ているところからこの私小説は始まる。 『続明暗』で水村氏の文章は堪能しているから、いえその先の成功を知っているから、安心して読んだのだけれど、人間はしょせん孤独であるとまざまざと感じさせる小説だ。 12歳でアメリカに連れられてきた女性が、アメリカに暮らしをしながらも溶け込めず、日本を恋し、その日本も近代文学の中の、もうどこにもない日本を懐かしみ慈しみ、小説家になっていこうとする。 大学、大学院と進むうちに自由の国、やる気があればどこまでもやらせてくれる、認めてくれる。しかし、気が違うほど努力しないといけない。 勉強している自由、結婚しない自由。自由でも厳しい、寂しい世界であるアメリカ。 そして、もう一つ家族のしがらみがある。いやなくなってしまった。外国で暮らしているがゆえに頼りにすべき家族、なのに家族崩壊。 20年経った今、英語が好きでバリバリ働いていた父親は病気になって再起不能、その夫を施設に入れてしまった母親は年下の男性とアメリカを離れ、思い出のロングアイランドの家は売りに出されてしまった。 大人なんだから自立は当然、でも帰る家があると無いでは大違い。孤独地獄に落ちたようだ。姉妹は離れて暮らしているので、電話で長話をする様子が胸に迫るよう。 当時として、この家族は一歩前を行っていたのかもしれない、現代の日本の家族はこんな風な、近いものがあるような。 ところどころにある文学談義、樋口一葉や芥川龍之介の文章が挿入されていて、ヨコガキ文章ではあるけれども読書好きを唸らせる。 英文まじりのところも飛ばしてもわかるし、文法は難しくないから、知らない単語は辞書を引いてなんとか読んでいるうちに、慣れてくるからおもしろい。 今じゃ珍しくないヨコガキの英文まじりの文章。ブログで慣れてから読んだので、違和感が無いのに気が付いた。(ああ、そんな時代になってしまったのか!)
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