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アップルパイ神話の時代 アメリカ モダンな主婦の誕生
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2009/02/26 |
JAN | 9784000220491 |
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アップルパイ神話の時代
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商品レビュー
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3件のお客様レビュー
1910年代~1950年代の科学雑誌や女性誌の広告を調べることで、電気製品や大量生産品を使いこなすアメリカの理想の主婦像が作られていく様子が明らかにされる一冊です。 科学雑誌の最先端の情報として家事の器具が登場しているのが面白かったのですが、なんとなく古雑誌を調べたからこその著...
1910年代~1950年代の科学雑誌や女性誌の広告を調べることで、電気製品や大量生産品を使いこなすアメリカの理想の主婦像が作られていく様子が明らかにされる一冊です。 科学雑誌の最先端の情報として家事の器具が登場しているのが面白かったのですが、なんとなく古雑誌を調べたからこその著者の発見というより、著者の言いたいことが先にあって、それに合致した数例を紹介しているような感じもして、もうひとつワクワクしませんでした。 でも、タイトルにもなっている「アップルパイ」を上手に作るための大量生産の食材についての話になったあたりから、ちょっと面白くなってきます。しかし数ある食べ物の中で、なぜアップルパイが「アメリカ的」だったのかというところは、もうひとつよくわかりませんでした。この本で一番言いたいことは、本の冒頭に既に書いてあるような気もします。
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少々引用・雑誌の紹介の引用の割合が多くて、羅列だけ?と若干感じましたが、総じて納得できる部分の多い本でした。こういう一般大衆文化について議論している本を読むと、私たちがこれはきっと昔から当たり前なんだろうと思っていること(家庭像・生活様式)が最近(世界大戦後)のもの、そしてメディ...
少々引用・雑誌の紹介の引用の割合が多くて、羅列だけ?と若干感じましたが、総じて納得できる部分の多い本でした。こういう一般大衆文化について議論している本を読むと、私たちがこれはきっと昔から当たり前なんだろうと思っていること(家庭像・生活様式)が最近(世界大戦後)のもの、そしてメディアの思惑によって作られたものであるということを実感いたしますね。
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「アップルパイ神話」とは、二〇世紀前半のアメリカの主婦たちを「モダンな主婦」たらしめるためにメディアが作り上げた幻想である。本書は、その「モダンな主婦神話」の「巧妙な語り口」を読み解いてゆくことによって、「お袋の味」というイデオロギーとは何だったのかをあきらかにする。 よく、...
「アップルパイ神話」とは、二〇世紀前半のアメリカの主婦たちを「モダンな主婦」たらしめるためにメディアが作り上げた幻想である。本書は、その「モダンな主婦神話」の「巧妙な語り口」を読み解いてゆくことによって、「お袋の味」というイデオロギーとは何だったのかをあきらかにする。 よく、アメリカ人の好きなものは「ママと星条旗とアップルパイ」といわれるように、「アップルパイ」は食品メーカーの広告にくりかえしとりあげられ、「お袋の味」の大定番としてアメリカの主婦たちに刷り込まれていった。そうしたメディアの言説のなかでは、「アップルパイ」が上手に作れることはモダンな主婦であることの最大の要件なのだった。だからたとえば、サクサクのパイ生地を焼けることうけあい、という「クリスコのショートニング」の広告は、これさえ使えば「ご主人も『イチコロ』まちがいなし」と謳う。 本書によれば、「モダンな主婦」とは「できる女」と「かわいい女」の二本柱からなる。二〇世紀の初めまで、中流階級以上のアメリカの家庭では、料理をはじめとする家事はメイドの仕事だった。それが、1920年代の絶対移民制限法施行と世界恐慌によって、使用人を雇うことが困難になって家庭が増え、妻が家事を「代行」しなくてはならなくなったのだという。「モダンな主婦神話」のはじまりである。家事を上手にこなせる女、そして夫に愛される女、それこそが理想の主婦像。お袋の味を彷彿とさせるおいしいアップルパイが焼ける、すると夫は大喜び、それこそがあなたの幸せなのですよ! と、家庭雑誌をはじめとするメディアは、二〇世紀の米国の中流階級以上の白人女性たちをさまざまな語り口によって「刈り込んで」いった。 そんな「語り口」の一例として、「ベティー・クロッカー女史」という料理の権威のテキストが紹介されている。記事は、家庭雑誌の老舗で『グッドハウスキーピング』の1934年9月号で、女史はそこで「男の心をつかむ料理」の理論化をはかっている、曰く「女性にとって問題なのは、ご主人の好みを知ることなのです」と。夫をよろこばすことのできる料理を上手に作ることができる、それこそ家事の成功の秘訣なのだと。また、こういう言説のなかでたびたび持ち出されるのは「愛情」。夫や子どもたちのためを思い、彼らの健康に留意し、かつおいしい料理を作ることこそが愛情のあかしであると。 ところでこの「ベティー・クロッカー」、アメリカの食品ブランドの名前でもある。赤いスプーンのマークが目印で、水を混ぜるだけで簡単にマフィンやケーキができるケーキミックスが主力商品。その発売元であり、アメリカ最大の食品メーカー・ゼネラルミルズ社が生みだした販促のためのキャラクターが「ベティー・クロッカー」という架空の女性なのだ。 「ベティ・クロッカー」の輸入元である食品商社「鈴商」のホームページには、ブランドの案内とともに、「ベティ・クロッカーの肖像画の変遷」というのが紹介されている。それによれば、1936年にオフィシャルポートレートが制作されて以来、今日まで七回肖像画がアップデートされているとのこと。本書には、彼女たちは代々、料理に悩む主婦たちの疑問や相談に答えるヴァーチャル・クッキング・アドバイザーとして活躍し、「そのカリスマ性と信頼性には想像を絶したものがあり、米国の主婦にとっては絶対的な存在だった。現在でもそれはつづいている。」とある。 「ベティー・クロッカー」のケーキミックスは、日本でも高級スーパー・マーケットや輸入食料品店で手に入るが、パッケージにあるケーキの出来上がり写真はみな、お世辞にも美味しそうとはいえない。しかし、種類も豊富で、同社の商品を使ったレシピ本がいろいろと出回っているところをみると、米国ではポピュラーなものらしい。料理の出来と愛情の相関関係などもはや誰も信じまいと思いきや、水をまぜるだけというお手軽レシピでも、手作りでさえあれば愛がこもっているのだとという「神話」はいまだ有効なのかもしれない。
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