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国土学再考 「公」と新・日本人論
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 毎日新聞社 |
発売年月日 | 2009/02/20 |
JAN | 9784620319032 |
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国土学再考
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大石久和のこの本は、日本を「自然災害史観」の国ととらえ、それ比較して大陸の歴史を「紛争史観」からとらえている。著者によれば西洋文明は、国土的な条件と歴史の違いから、日本社会のルールや思考法とは大きな隔たりがあるという。西洋文明は、シュメール文明という源流の時代から、都市に城壁を築...
大石久和のこの本は、日本を「自然災害史観」の国ととらえ、それ比較して大陸の歴史を「紛争史観」からとらえている。著者によれば西洋文明は、国土的な条件と歴史の違いから、日本社会のルールや思考法とは大きな隔たりがあるという。西洋文明は、シュメール文明という源流の時代から、都市に城壁を築いて暮らしていた。その城壁造りや見張りや守りの分担などで厳しいルール伴う社会を守ってきた。周辺の自然環境は厳しく、他民族との死ぬか生きるかの戦いの中で、常に備えを万全にしておく必要があった。「皆殺し」への恐怖を前提にした思考法が、現在の世界文明の礎になっているというのだ。 これに対して基本的に温暖湿潤な日本列島は、乏しい食糧を集団どうしが常に争い合う必要があまりなかった。その代わりに自然災害による定期的な打撃を受けてきたのだが、これは守りを固めてもどうしようもなく、ただあきらめ、受け入れるほかなかった。 こうした歴史を持つ国はまれだ。たいていの民族は歴史上、紛争によって皆殺しに近いことをされたり、その恐怖に直面したりしている。日本のように「皆殺し」が天災によるものしかない国は、世界中にほとんど見当たらない。 こうした日本の特異な環境は、独特の無常観を植え付けた。さらに日本人の優しい語り口や控えめな言語表現、あいまいな言い回しは、人間どうしの悲惨な紛争を経験せず、天災のみが脅威だったからこそ育まれたのだという。 城壁に囲まれた都市の住民は、勝つため、負けないために必死に研究しなければならない。情報を集め、それは正しい情報か、もれはないか、偽情報は含まれないかなどをつねにチェックしなければならない。あらゆる不測の事態や可能性を想定して作戦をたて、二重にも三重にもチェックしなければ、皆殺しにされてしうかもしれないのだ。 だからこそ、その思考は網羅性、俯瞰性、長期性などの特徴をもつ。合理的な判断を狂わせるような情報は厳しく排除される。合理的に判断する成熟した主体にこそ、最高の価値が置かれるのは、そういう歴史的は背景があったからではないだろうか。一方、日本人はそういう戦いの状況に置かれたことが歴史上あまりなかったため、厳しく合理的な思考訓練ができていない、必要ともされなかった。 他国に攻め込まれる恐怖もほとんどなく、食糧も豊かだった日本では、ぎりぎりの厳密で合理的な思考やその伝達にさほど重きを置かずにすみ、また「そぶり」や「以心伝心」程度のコミュニケーションで困ることはなかった。外敵に包囲され、防御策を綿密に決めて、誤解のない言葉でルール化しなければ全員の命がない、などという状況に身をおいたことがほどんどないのだ。
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