山頭火の恋

古川敬【著】

• 販売会社／発売会社: 現代書館
• 発売年月日: 2009/02/20
• JAN: 9784768469927

商品レビュー

2009/03/20

膨大な行乞日記を残しているのに、ある時期の日記は欠落している。
酒好きの女嫌いといわれていた山頭火の女へのほのかな想いが、この日記のない時期にあるのではなかろうか・・。と丁寧な調査の果てに新説が登場した。

東京の図書館勤めの頃に交流のあった兄妹。文学をサカナに、親しい交流があったとか。
40歳の山頭火と20歳の若い娘のあいだに何かあったわけでもないようだが、病を得て帰郷した娘の急逝を聞き、とるものもとりあえず向かった山頭火が浮かび上がる。

「自分が近くにいると、大事な人は不幸になってしまう・・。千代さんを守るためにあの兄妹の前から姿を消したのに・・」と山頭火は想ったに違いない・・・と著者は推論する。証拠は、いままで重要視されていなかった山頭火の葉書のコトバから浮かびあがる・・。

それが真実なのかどうなのか・・。強調することでもないし、それが事実であってもなくとも山頭火は変わらない。

しかし、そんな説を知ることも山頭火ファンにとって面白いことではある。