この胸に深々と突き刺さる矢を抜け(下)

白石一文【著】

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2009/01/28
• JAN: 9784062152433

商品レビュー

2024/06/26

正直なところ、後半になるまでは、小説を楽しむと言うよりはずっと論文読んでるような感じで、楽しむと言うよりは学んでる感じでした。主人公ががん患者である、という一点でそこに関わることだけは共感できて、どうにか読み切ったって感じ。でも読み終えてみるとなんとなく爽やかな気になる不思議な小説。

2019/03/03

くどくて疲れた。ちょっと生きることとか神とか、理想の社会とか、個別には同意する部分もあるけれど、これだけ積み重ねられても、価値観の違う部分で引っかかりが生じる。そういう意図はないんだろうけど、宗教的匂いがしすぎて吐き気がする。話の筋は悪くないんだけど、もうこれはこの人の書き方だから仕方ないんだろう。

2016/03/19

下巻に入ると、思いもよらないストーリー展開が続き、スリリングになっていく。主人公を取り巻いて、政治スキャンダル、貧困や格差などの経済問題、社内政治、家族や知人との人間関係など、複雑に絡み合って混沌としてくる。かといって、筋が見えなくなるわけではなく、次第に色々なつながりが明らかになっていく。そして、最後までどんでん返しが続き、結末は思いもよらぬものだった。
主人公のように、常に冷静さを失わず、情に流されずに物事を鋭く観察できる人物になりたいものだ。