風花病棟

帚木蓬生【著】

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2009/01/22
• JAN: 9784103314165

商品レビュー

2024/11/08

　短編。色々な切り口から医師と患者の関係が描かれている。
短編だが、どの章も読み応えのあるバリエーション豊かな話ばかりで読み応えあった。
引退の仕方を考えさせられた。

2017/12/23

医師を主人公にした短編集。

「藤籠」
ある総合病院で働く医師。死期が近いなら子供に絵本を描きたいと願った女性患者に、夫の希望で告知をせずにいた。徐々に悪化する彼女が病床で話題にした、病院からの見える山藤の景色。

「雨に濡れて」
自身が乳癌になり、片方の乳房摘出を行った医師。骨盤内肉腫摘出、転移のあった左足切断をした老婦人を研修医時代に担当していた。彼女は切断による無力感、痛みにより人を寄せ付けず、治療やケア、リハビリを拒んでいた。彼女に痛みが強いときは、自分が気持ちの良い場所にいると想像してと話したころを思い出す。
この短編にリハスタッフが出てくるが、患者がやる気がないことに対して苦情を言っていて、現役の医師である作者のリハスタッフへの印象が悪いのだなと。悲しい。

「かがやく」
精神科医師とアルコール中毒患者の短編。

どの話も物悲しいが、最後にはそれぞれの医師に会ってみたいと思える話。

2016/09/20

医師が主人公の短編集。
どれも力のこもった作品で読み応えがありました。
告知を受けずに治療を進めるガン患者のエピソードがいくつかありましたが、時代によるものでしょうか？
（今はないな～...と）
中には、うう～...とうなりたくなるような衝撃的な症例を用いたエピソードもありましたが、
そういう事が”主”なのではなく、あくまでも主人公である医師の心の迷いや葛藤や喜びなどがじんわり伝わってくる良い本だと思えました。