世の中にひとこと NTT出版ライブラリーレゾナント

池内紀【著】

• 販売会社／発売会社: NTT出版
• 発売年月日: 2009/01/22
• JAN: 9784757150621

商品レビュー

2014/09/22

曰く「（文化的ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞ）草花の美しさ、そのいとなみをおもしろく思うためには歳月が要る。（略）植物をたのしむためには、文化的トレーニングが必要だ」
曰く「（時代おくれ）自分を『時代おくれ』と称した茨木のり子が痛烈な詩を残している。
　そんなに情報集めてどうするの
　そんなに急いで何をするの
　頭はからっぽのまま　　」
曰く「（小学生に英語）元外国語教師はよく知っている。外国語の初歩を教えるほど難しいことはない。文法用語をいっさい使わずに未知の言葉を教える。私は中級や上級ならともかく、初級は自信がない。それは熟達した教師にだけできることだ。」
などなど…

見開きでエッセイの一遍分になっている

その　ほとんど全てのページに付箋を貼りたくなってしまう。
付箋を貼ったところの文章を何度も口ずさんでしまう。

「なんだかおかしいなぁ」
と　思っていたことを　実に易しい言葉で語ってもらっっているような感じだ。

人間は考える葦である

今更ながら、本当に　そうだなぁ
と深く頷いてしまう一冊です。

2012/01/06

堅苦しくないけれど読んでいて思わずハッとする
本当に思慮深い人の本だなぁと思いました。
池内さんのエッセイは大好きです。

2010/04/27

信州の新聞社での週一コラムの抜粋。
p13「そういえばドイツのことわざにある。いわく、『小心者は制服を見ると安心する』。」
p200「私は以前、大学の教師をしていた。『天下のトーダイ』などといわれるところにもいて、多くの同僚と付き合った。だから、その中で見かけた「あるタイプ」の人間をよく知っている。ひとことでいえば、他人が考えたことを要領よく表現する能力の持ち主である。要約したり、言い換えたり、発展させることもできる。それがほとんどこのタイプの全特徴ともいえるほどだ。知性的で理論化に秀でている。論理が好きで、辻つまが合わないことを猛烈に嫌う。読むのも書くのも話すのも上手だが、ボタンひとつ、つけることができない。・・・略・・いわば貼り付けただけであるということは考えない。このタイプと話をして三十分は愉快である。一時間過ぎると死ぬほど退屈になる」など、きちんとした見解から述べている。
しかも、見開きで1コラムなので読みやすい。『情報欠落社会』もうまいし、ドイツ文学者らしく世の中の消費税のことについても、ドイツを例として取り上げ、日本の政治家、マスコミの言い方の変さを指摘。
拾い読みするのにも楽しい本である。