百けん先生 月を踏む 朝日文庫

久世光彦【著】

• 販売会社／発売会社: 朝日新聞出版
• 発売年月日: 2009/01/09
• JAN: 9784022644718

商品レビュー

2024/06/07

百間先生月を踏む

一般的には「寺内貫太郎一家」の演出などの方が有名な久世氏の遺作となった小説です。
小田原に居を構えて、小坊主の果林に面倒を見てもらいながら百間先生が執筆をし、うたた寝をし、女郎屋に行って狐饂飩を食うというだけの物語です。登場人物は近くの寺の和尚と大黒さんと饂飩屋の女将、女郎屋のお馴染みと川上竹六という掘っ立て小屋に住んでいる物書きくらいです。竹六さんとは話がかみ合わず、和尚と大黒さんは耄碌してまたまた話がかみ合わず。百間先生の小説はまるで白昼夢のように話がかみ合わず。。。。
構成は、一つの章の中に百間先生の小説が３つずつ入っており、その間を果林の視点での日常が繋いでいきます。
よいよいの竹蔵は、昔読んだ百間先生の小説のイメージしか持っていなかったので、まんまとだまされて、百間先生の小説は本物かと思ってました。(T_T)　その上にまたまただまされて、百間先生は小田原には住んだことが無いとのこと。　さらに、五章は久世氏が鬼籍に入られたので、尻切れトンボでした。　いっぱいだまされました。(^_^)v
百間先生の”サラサーテの盤”は、私が大好きな鈴木清順監督の”ツイゴイネルワイゼン”の原作です。その中で、鬼籍に入った友人の妻が、夫が貸した本を返してくれと夜半に訪ねて来る有名な場面があります。脚本家なぞという押しが弱くてはつとまりそうもないお仕事をしていた久世氏は、きっとこの本の五章を風呂敷に包んで持ちながら、この章を連載しろと夜半に編集者を訪ねて来る気がします。
あの世もこの世もすぐ近くにあって、行ったり来たりが自由に出来る気にさせてくれる。そんな百間先生もうまくだましてしまう久世氏のご冥福を祈って。

竹蔵

2023/08/02

今回は内田百閒のおはなしであり、久世光彦、未完の遺作。
実際に〈未完〉て書かれてるの意識したの、初めてかも分からんな…。

ある意味道半ばで、だけどあらゆることをやりきって一生を終えた人だったんだろうなあ。

2018/11/20

「百閒先生 月を踏む」大分の図書館で読んで、引っ越しして、また読みたくなって買った本。とても好み。
『世の中に　人のくるこそ嬉しけれ　とは言ふものののおまへではなし』←百閒先生センセイの玄関に貼ってある札ｗ