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長岡輝子、宮沢賢治を読む 全8巻
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長岡輝子、宮沢賢治を読む 全8巻

文学・エッセイ・詩集

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長岡輝子、宮沢賢治を読む 全8巻

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 草思社
発売年月日 1991/05/01
JAN 9784794204165

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2022/05/11
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先日、女優の長岡輝子さんが102歳で亡くなられた。 女優としてのお仕事は、私はあまりよく知らなくて、私にとって長岡さんといえば、“宮沢賢治を朗読する人”なのだ。 今から二十年ほど前に録音されたCDブックである。 『長岡輝子、宮沢賢治を読む』全八巻 (草思社) 83歳のころの長岡さんが、美しい盛岡弁で、賢治の詩や童話を朗読している。 花巻弁とはちょっと違うのかもしれないが、同じ県だからそんなに大きな違いはないのではないだろうか。 これを初めて聴いたときは私もまだ二十代で、賢治作品では文章で読むだけだった岩手の方言を、人の声で直に聴くことができるのに興奮したものだった。 ボックスの裏には、このCDが録音された当時の長岡さんの写真が載せられているのだが、あまりの若々しさに驚く。 決して若作りをしているわけではなくて、ちゃんとおばあさんなのだけれど、堂々としていて輝いていて、肌もツルツルで。 この間、新聞に長岡さんの自叙伝の話が載っていた。 与謝野晶子に源氏物語を習ったとか、岡本太郎からラブレターを貰ったとか、三島由紀夫とは家族ぐるみの付き合いだったらしく、川端康成がノーベル賞を貰ったことを悔しがっていた、などの仰天エピソードがたくさんあるそうだ。 長岡さんの朗読で一番好きなのは、第二巻に収録されている『鹿踊りのはじまり』だ。 “方言で喋りまくる鹿を主人公が呆然と見ている”という話で(ざっくりしすぎ?)、鹿たちの方言がすごく楽しくて、動物と人間と自然の三位一体に心が震える素晴らしい童話である。 主人公の嘉十が忘れていった“てぬぐい”を囲んで、鹿たちが、これは何なのだ、生き物か、などとあれこれ話し合う。 ちょっと引用してみます。 「嘉十はにわかに耳がきいんと鳴りました。そしてがたがたふるえました。鹿どもの風にゆれる草穂のような気持ちが、波になって伝わってきたのでした。嘉十はほんとうにじぶんの耳を疑いました。それは鹿のことばがきこえてきたからです。 『じゃ、おれ行って見で来べが。』 『うんにゃ、危ないじゃ。も少し見でべ。』 こんなことばもきこえました。 『何時だがの狐みだいに口発破などさ罹ってぁ、つまらないもな、高で栃の団子などでよ。』 『そだそだ、全ぐだ。』 こんなことばも聞きました。 『生ぎものだがも知れないじゃい。』 『うん。生ぎものらしどごもあるな。』」 そしてこんな風に鹿たちは、一匹ずつ交替でてぬぐいに近づいては、あれやこれやと推理をし、結局、「大きななめくずらのひからびだの」(大きななめくじの干からびたもの)らしいということになり、口々に歌い出すのだ。 この歌に長岡さんが独自に節を付けて歌っているのだが、これがなかなかテキトーでええかげんで、しかも異常なハイテンションで、何とも鹿っぽいんです。 これが長岡さんのイメージなんだろうな。 巻末で、劇作家の別役実さんが文章を寄せている。 賢治が好きで、賢治作品についての本も出しておられる別役さんだが、『永訣の朝』の中の「あめゆじゅとてちてけんじゃ」を、長岡さんの朗読で是非聞いてみたかったそうで、結果は、「私が想像していたどのような響きとも違っていた」そうである。 実は私が思っていたのともやっぱりちょっと違っていた。 以前、テレビで壇ふみさんが朗読されていた『永訣の朝』が、ももすごく感情を抑えたあっさりした読み方で、それがわりと私のイメージに近かった。 特にわざわざ括弧の中に入れられている「あめゆじゅ」は、あえて感情を込めない方がいいと私は思ったのだ。 読み方は人それぞれでいいのだと別役さんは言っている。 「受信するものによってそれぞれに、異なる像を結ぶ」 「どれも正しく宮沢賢治であることに違いはないのだが、それを受信する内面の様態に従って、異なるもののように感じとられるだけ」 だからこれは、「光の乱反射」のようなものだと。 賢治と同郷である長岡さんは、賢治作品に対して、自然や気候風土、人の営みなど、おそらく私たちの持ちえない独特のイメージを持っておられるに違いなく、女優という表現媒体を最大限生かして、長岡輝子というフィルターを通した宮沢賢治を、私たちに届けてくれたのだ。 これは間違いなく、後世に残る素晴らしい仕事だと思う。 心よりご冥福をお祈りします。 長岡さんが天国で賢治さんに会えますように。

Posted by ブクログ

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