超鋼女セーラ フタリの青春、お嬢のユウウツ HJ文庫

寺田とものり【著】

• 販売会社／発売会社: ホビージャパン
• 発売年月日: 2009/01/01
• JAN: 9784894258044

商品レビュー

2009/01/06

わたくしにも、ちゃんと意中の殿方が他にいましてよ

[ＤＳＫ]

まずは表紙。なぜにベッキーが茸味を抱擁しているのかと思いきや……手刀を繰り出していて「そうだよね」と、少し笑えた。あとがきにもあるように本巻はラヴィニアとベッキーのＷ主人公の話である。特に久し振りなラヴィニアの大活躍は嬉しい。

前巻で１シーンながら強烈なカッコ良さを見せたラヴィニアは、生徒会長、というより１人の先輩として、１人の女として本巻でも無類のカッコ良さを見せる。この娘は茸味の前でこそ可愛らしくなってしまうが、本来はカッコ良い娘なのだと実感させられる。男の器量と女の甲斐性を説くなんてカッコ良過ぎる。このエピソードの展開自体は若干出来過ぎ感が無くも無いが、まぁ、ラヴィニアの信念や茸味に対する想いも改めて確認出来たので良い。直後の、たった２頁の幕間がこっそり笑える。

ベッキーは絢乃との絆と２人の生き様を改めて確認する機会となった戦いだった。当初はカヤの外に置かれて不貞腐れていたベッキーが、茸味の何気ない一言で忘れていたことを思い出し、絢乃を応援していく展開が良かったと思う。この変人２人の、実は深い深い関係を垣間見せてくれた。

本巻では、この不貞腐れたベッキーが茸味宅にグチをこぼしに来た時や、春日井教会で急遽始まった合宿などでセーラと茸味のラヴラヴなシーンが結構ある。前巻で不足気味だった甘々成分がかなり補填されていて良い。今までお互いが黙っていたこと、隠してきたことを告白しあうシーンも印象的だった。これまでの謎めいた部分が少し解消されており、セーラも元に戻るようなので、次巻以降はまた新しい展開になっていきそうである。