![ボスニア内戦 グローバリゼーションとカオスの民族化 国際社会と現代史](https://content.bookoff.co.jp/goodsimages/LL/001608/0016085573LL.jpg)
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ボスニア内戦 グローバリゼーションとカオスの民族化 国際社会と現代史
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 有志舎 |
発売年月日 | 2008/03/30 |
JAN | 9784903426129 |
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ボスニア内戦
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ボスニア内戦
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商品レビュー
4.3
4件のお客様レビュー
ユーゴスラヴィア紛争について知識の解像度を上げたかったため、本書を手に取った。少し古いこともあり、概要が分かればいいかと思い、流し読みしていたのだが、本書の濃密な分析を見て後悔。最初からちゃんと読めばよかったと思うクオリティの高さであった。 本書は、一般的に認知されているボスニ...
ユーゴスラヴィア紛争について知識の解像度を上げたかったため、本書を手に取った。少し古いこともあり、概要が分かればいいかと思い、流し読みしていたのだが、本書の濃密な分析を見て後悔。最初からちゃんと読めばよかったと思うクオリティの高さであった。 本書は、一般的に認知されているボスニア内戦における、セルビア人が悪でボスニア人が被害者という図式を批判し、セルビア・クロアチア・ボスニアの3者すべてに残虐行為の事実があったことを指摘。その原因に、ユーゴスラヴィア時代の同一文化で育った人々が混乱状態の中で、互いに他者を見出そうとした現象であったと分析している。 当初は「民族紛争」ではなかったボスニア内戦が特定の集団を選択的に抹殺する「ジェノサイドの脅威」により、被害者としての集団の「記憶」・集団への帰属意識が生み出されたという指摘はナショナリズムの視点から興味深い。 また、本書は、ユーゴスラヴィアが冷戦時代に統一を守り、繁栄した理由をチトーの個人的カリスマ性で済ませることを短絡的と批判。同国の統一は、国際政治と国内政治・経済システム(自主管理主義)の微妙なバランスによって維持され、冷戦構造を巧みに利用した結果であるという指摘も大変勉強になった。 以下、備考 ・セルビア=正教、農業 ・クロアチア=カトリック、ブルジョワ ・ボスニア=ムスリム ・【p.32〜】ユーゴスラヴィア王国はナチス・ドイツにより滅亡。クロアチアには傀儡の極右ウスタシャが誕生。ヤセノヴァツ収容所等でセルビア人虐殺 ・【p.50〜】セルビア人抵抗組織がチュトニク。ただし、彼らも虐殺をし、セルビア人からも反発を受け衰退。代わって、抵抗運動の主導権を握ったのは共産党パルチザンのチトー率いる「ユーゴスラヴィア人民解放軍」 ・【p.54】共産党が勝利した最大の要因は、民族対立に反対し、多くの民族の支持を得たこと ・【p.109】1980年代後半のユーゴスラヴィアは、経済のグローバル化の圧力で国内経済システムの変革を強いられたことを切っ掛けに、政治構造が流動化。連邦の解体と内戦の原因は、単に民族主義が台頭したことではなく、共和国間の利害を調整するメカニズムが機能不全を起こし、政治の混沌が生まれたこと。 ・【p.308】「ジェノサイドの脅威」は内戦を「民族紛争」に作り変える規定要因に。元々は「民族対立」でなかったのだが、「ジェノサイドの脅威」を利用した政治的動員体制の根拠に。ジェノサイドは特定の集団の選択的抹殺であり、その対象を自覚することも集団への帰属意識を生み出す。 ・ボスニア紛争(1995年)のNATO空爆が「デリバリット・フォース作戦」、コソボ紛争(1999年)は「アライド・フォース作戦」
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ボスニア戦争について、通説にとらわれず、さまざまな事実を積み重ねて全体を見通した1冊。ボスニア戦争について扱った本は結構著者の立場が大きく押し出されているような感じを受けますが、この本はどの民族やグループにも与することなく、できるだけ客観的に起こったことをとらえようとする著者の意...
ボスニア戦争について、通説にとらわれず、さまざまな事実を積み重ねて全体を見通した1冊。ボスニア戦争について扱った本は結構著者の立場が大きく押し出されているような感じを受けますが、この本はどの民族やグループにも与することなく、できるだけ客観的に起こったことをとらえようとする著者の意識が感じられます。 一般的にはセルビアが一方的に悪かった、という認識がいまも広くあると思うのですが、著者はそれぞれの民族やグループが実際に起こした残虐行為をそれぞれあげています。一部のものについては、克明な描写で身の毛のよだつほどです。残虐行為は各民族がそれぞれに行っていることがよくわかります。 ボスニア戦争の原因についても考察がなされています。冷戦の世界構造の中でうまく立ち回ってきたユーゴスラヴィアの経済が、冷戦の終結とグローバリゼーションにより崩壊したことで社会が不安定化。そのことにより、社会に不満が高まり、ごろつきやマフィアのような人たちが民族主義を隠れ蓑に不法行為を働くようになった、また、政治権力奪取を狙う政治家たちが「過去の記憶」を呼び覚まし民族主義をあおったりそういったごろつきたちを利用したことで内戦につながっていく。 また、民族主義的対立意識がもともとボスニア・ヘルツェゴビナ全土にあったものではない、ということも本書を通じてよく分かります。政治家や民族主義者の陣取り合戦を通じて、「こちらから仕掛けないと殺される」とか「協力しないと同じ民族の兵士に殺される」といった恐怖も大きく作用したようです。そして内戦を通じて身内や友人を殺されたり、住居を破壊され街を追われたりといったことが多くの人の心にまだ傷跡を残しています。 現在のボスニア・ヘルツェゴビナの体制は民族ごとのすみわけのような形になっており、民族主義政党が結局各地域ごとに権力を握っているとの指摘が最後にありました。ボスニア内戦を通じて、各民族がさらに「被害者意識」を感じており、このような棲み分け体制では和解も容易ではないことを著者は示唆しています。
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ユーゴ内戦に関して歴史的背景から原因分析、民族浄化に至るまで網羅的に分析され、述べられている名著。セルビア・クロアチア・ボスニア。各民族の虐殺について書かれている章は目を覆いたくなるほど詳細に虐殺の様子が書かれている。民族紛争や国際関係に興味がなくとも、人類の犯した歴史を知るため...
ユーゴ内戦に関して歴史的背景から原因分析、民族浄化に至るまで網羅的に分析され、述べられている名著。セルビア・クロアチア・ボスニア。各民族の虐殺について書かれている章は目を覆いたくなるほど詳細に虐殺の様子が書かれている。民族紛争や国際関係に興味がなくとも、人類の犯した歴史を知るために、読まなければならない本であると感じた。
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