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鱧の皮 他五篇 岩波文庫
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鱧の皮 他五篇 岩波文庫

上司小剣(著者)

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鱧の皮 他五篇 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 1995/10/01
JAN 9784003111314

鱧の皮 他五篇

¥440

商品レビュー

3.5

6件のお客様レビュー

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2023/09/12

 大阪が舞台の短編がほとんど。お酒と白粉と煙草の匂い。ぽんぽんとやりとりされる大阪弁。おいしそうな料理の描写。学はないが村人たちから慕われている”太政官”(あだ名)が、やがて村の若手にとってかわられていく『太政官』が切ない。『石川五右衛門の生立』はやんちゃな五右衛門の子供時代の話...

 大阪が舞台の短編がほとんど。お酒と白粉と煙草の匂い。ぽんぽんとやりとりされる大阪弁。おいしそうな料理の描写。学はないが村人たちから慕われている”太政官”(あだ名)が、やがて村の若手にとってかわられていく『太政官』が切ない。『石川五右衛門の生立』はやんちゃな五右衛門の子供時代の話で、子供ながらに盗みは悪いことではないという屁理屈をこねくりまわすのが恐ろしくもかわいい。

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2020/07/05

鱧の皮 日常にこの時代の話し方を聞くことが、少なくなっている。 大阪在住で、商売人の方々とやりとりすることがあるわたしには懐かしく、落ち着く話し言葉。 亡き父を思い起こさせるからか。 決してあつかましくも、荒っぽくもない言葉。 そして広がる機微の漂う会話のやりとりに、簡単に...

鱧の皮 日常にこの時代の話し方を聞くことが、少なくなっている。 大阪在住で、商売人の方々とやりとりすることがあるわたしには懐かしく、落ち着く話し言葉。 亡き父を思い起こさせるからか。 決してあつかましくも、荒っぽくもない言葉。 そして広がる機微の漂う会話のやりとりに、簡単に情景が浮かび上がる。 放蕩な夫を根っこからはふりきれない妻。 鱧 はもは、関西では夏の風物詩。 そっと夫の好物を包み出かける妻の心情に、 永年の夫婦のあり方を思う。 苦労人とされる立場でも、実はなかなか平穏なのでは。 それは単純な幸せを乗り越えて得た価値観。 離れていても幸せでいてくれたらいい、そんなひとの思いに、夫婦のあり方を投影してると感じた作品でした。

Posted by ブクログ

2018/07/06

「ごりがん」 ごりがんとは、上方の言葉で 「わが意をごり押しする」といったほどの意味とか そんなごりがんな性格の過ぎるあまり 人には他力本願であれと押し付ける、少し困った坊さんがいた ところが、嫁とりの問題をめぐって息子が家を出て行ってしまい めっきり弱気になってしまう しかしそ...

「ごりがん」 ごりがんとは、上方の言葉で 「わが意をごり押しする」といったほどの意味とか そんなごりがんな性格の過ぎるあまり 人には他力本願であれと押し付ける、少し困った坊さんがいた ところが、嫁とりの問題をめぐって息子が家を出て行ってしまい めっきり弱気になってしまう しかしそれでも彼は、道化のようにごりがんを演じ続ける そんな話 「鱧の皮」 料理屋を切り盛りする女将さんのもとに、家出した亭主からの手紙が届く 帰ってほしければ店の屋号を俺の名前に変えろだの また博打で負けたから送金して頂戴だの 勝手なことばかり書いてあるが 惚れた弱みがあるので、亭主の好きな鱧の皮だけは 親に内緒でこっそり送ってやることにする 上方の、甘ったれた男のわがままを書いたものとしては 谷崎潤一郎や織田作之助の先駆だろう 「父の婚禮」 母が死んだので、父は新しい嫁を迎えることにした その相手というのが、以前家でつかってた下女のお時さん まだぜんぜん若い女だが 年齢不詳の父と、どのぐらい歳の差があるのかよくわからない ちょっと前まで、これをいじめて泣かせたりなどした12歳の息子は ある寂しさにおそわれて泣いてみたりする 「兵隊の宿」 人間は自分の考えによって自分の運命を選択できる それが、普遍的の自由というものだ …というのが、近代において見出された真理というか願望というか まあ理想主義なんですけど いずれにせよ、人間はカネを稼ぎ あさましくとも食ってかないと死んでしまうわけだ だからそのために己の意志を曲げて ひざまづくことも、時には余儀なくされる その現実に絶望するたび人間は、発狂したり死んでしまったり 明治時代の文学では、そういうことがしばしば繰り返されてきた しかし大正時代… もう少し遡って、田山花袋の「蒲団」あたりから 文学の中の人物たちも、妥協を覚え始めた これはそういう流れのうちにある 日本文学史の、忘れられた重要作品ではないだろうか 「太政官」 蘭や万年青の新しい品種を工夫してみたところ 明治時代の土地バブルに乗って爆売れ あっという間に大金持ちとなった百姓が 学校を建ててやり、村政にも隠然たる勢力を持つようになった 人は彼を半ば尊敬、半ば嘲る気持ちで、「太政官」と渾名する しかし太政官は、やがて彼の学校で学問を得た若者たちに 村政からスポイルされてしまう 「石川五右衛門の生立」 少年時代の石川五右衛門を 自分のものと他人のものの区別を理解できない子供として書いており ひょっとすると 共産主義への批判と受け止められないこともない

Posted by ブクログ

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