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十二の月たち 世界のお話傑作選
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十二の月たち 世界のお話傑作選

ボジェナニェムツォヴァー【再話】, 出久根育【文・絵】

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十二の月たち 世界のお話傑作選

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 偕成社
発売年月日 2008/12/01
JAN 9784039639004

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十二の月たち

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商品レビュー

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2023/02/14

劇団仲間の「森は生きている」をステージで観たことがある。絵本の物語と似ていた。昔はロシアの音楽やバレエ、民話、料理、文学等をとても好意的に受け入れる雰囲気があった。 絵本はスラブ民話とされる。出久根さんの説明ではスラブとはチェコ、スロバキアからロシアにかけての地域らしい。少なくと...

劇団仲間の「森は生きている」をステージで観たことがある。絵本の物語と似ていた。昔はロシアの音楽やバレエ、民話、料理、文学等をとても好意的に受け入れる雰囲気があった。 絵本はスラブ民話とされる。出久根さんの説明ではスラブとはチェコ、スロバキアからロシアにかけての地域らしい。少なくとも3カ国で共有される民話の一つらしい。 意地悪な姉妹とママ母と暮らす若い娘、大概差別され家事労働を強いられる。真冬の森に仕事のために追い出され、12人の月の神(天使か妖精か分からない)の焚き火に入れて暖まる話し。 継母のいじめは灰かぶり姫の話に似ている。ヨーロッパの東西広い文化圏を想わせ楽しそう。 表紙はいきなりかわいそうなマルシュカが幸せである絵。ということは、主人公が幸せになるだけでは終らないのか。 裏表紙とマエ・ウシロの見返しは一面の森と降る雪。静かで美しいがとにかく寒い。そこから急速にクローズアップされた扉、小さなログハウス、背後はどこまでも広がる森。玄関先にかすかに見える花模様の手提げを持ったマルシュカの後ろ姿。スケールの大きな画角はミクロの人間と圧倒的な大自然。出久根育のイメージが的確に描かれる。 「あめふらし」で鮮やかな色遣いと何とも言えない人の表現に胸を鷲掴みされ。この絵本で鳥瞰的スケールの見事な自然描写に驚く。 #十二の月たち #ボジェナ・ニェムツォヴァー #出久根 育 #日本図書館協会選定図書 #全国学校図書館協議会選定図書

Posted by ブクログ

2023/01/12

どちらかといえば『森は生きている』のタイトルの方がなじみ深い。『森は生きている』は、1953年に湯浅芳子さんが翻訳し岩波書店(岩波少年文庫)から出版している。原題は『十二月』だった。素になったのはロシア人の児童文学作家、サムイル・ヤコヴレヴィチ・マルシャークがソビエト連邦時代の1...

どちらかといえば『森は生きている』のタイトルの方がなじみ深い。『森は生きている』は、1953年に湯浅芳子さんが翻訳し岩波書店(岩波少年文庫)から出版している。原題は『十二月』だった。素になったのはロシア人の児童文学作家、サムイル・ヤコヴレヴィチ・マルシャークがソビエト連邦時代の1943年に作った戯曲だ。スロバキア民話の「12のつきのおくりもの」が原案となっているという。本作はサムイル・ヤコヴレヴィチ・マルシャークさんからボジェナ・ニェムツォヴァー さんに引き継がれ、また2008年に出久根育さんの絵本で『十二の月たち』となり蘇った。 『森は生きている』『十二の月たち』は私にとって思い出深い民話となっている。 38年前のクリスマス12月に大病で入院中、県外から手伝いに来てくれた義姉(2才年上の夫の姉)。今思えば、義姉はいったいどこからチケットを手に入れたのだろうか? 彼女は幼い長男を連れて『森は生きている』の舞台を観に連れて行ってくれたのだ。12の月の神様がステッキをポンと舞台で叩くたびに、それぞれ春夏秋と季節ごとに舞台が変化していくのが美しかったと、感想を話してくれた。再発する恐怖に慄いていた私は、話してくれた舞台を想像する束の間明るくなれた。それから年月が流れ、後に誕生した次男と長男で3人で「森は生きている」の上演を観た。描いていた通りに季節が見事に変わる舞台を目の前にして、義姉への感謝の念が沸き上がり涙したのを思い出す。 今回改めて再読して継母、まま娘の設定に時代性を感じ引っ掛かりを覚える。この1点だけは実に残念。

Posted by ブクログ

2023/01/07

読み始めて、どこかで読んだことあるなと思ったら、「おはなしのろうそく2」に収録されていた、「十二のつきのおくりもの(内田莉莎子訳)」の事で、そちらは、ほぼ文章だけだったのに対して、本書は、アートを思わせる厳かな雰囲気の中にも、とてもエモーショナルな思いが見え隠れし、切なくなってし...

読み始めて、どこかで読んだことあるなと思ったら、「おはなしのろうそく2」に収録されていた、「十二のつきのおくりもの(内田莉莎子訳)」の事で、そちらは、ほぼ文章だけだったのに対して、本書は、アートを思わせる厳かな雰囲気の中にも、とてもエモーショナルな思いが見え隠れし、切なくなってしまう絵が加わる事で、より物語に感情移入することができましたし、しかも絵を描かれているのは、「ルチアさん」の、出久根育さんである。 そして、本書の出久根さんの絵は、ご本人の住まわれている地の絵を描かれているからか、より物語への強い思いを感じましたし、その中で最も印象的だったのが、マルシュカの絵を見るだけで、彼女の心の清らかさを自然と感じさせられた事です。 例えば、表紙の真ん中で、たくさんのスミレの花を嬉しそうに抱えている、マルシュカを見て、ホレナと継母からいじめられているように感じられますか? 私には全く感じられず、なぜなら、マルシュカの心の清らかさが、体全体をオーラの様に包んでいるかのような雰囲気を、出久根さんの絵から感じさせるからだと、私は思いました。 また、その清らかさは、マルシュカに寄ってくる、二匹の猫の様子からも痛いほど感じられたし、仕事をしている表情や、糸まきをしている表情もそうだし、なんだったら、リンゴの木を揺すろうとする、マルシュカの後ろ姿さえも、それを感じることができた(その様子がとても健気に見えて…)。 これが絵を描く人の凄さ、そして、素晴らしさだと私は思いましたし、こう思わせるくらいの想いで、描かれたのだろうなと感じさせる、静謐なのに、今にも爆発しそうな、そんな熱量が、私を更に切ない思いにさせました。 それから、熱量というよりは、突き刺さり凍えるような厳寒さを、たった一人取り残されたような、もの寂しさがひしひしと押し寄せてくる、途方も無い孤独感と果てしなさで見事に再現した、スロヴァキア(それともチェコ?)の森は、なんと、これだけの描写で、表裏の見返しと裏表紙全てを満たしており、改めて、自然への畏怖の念を抱かせる。 物語は、よくある話ながら、長く読み継がれている理由が分かる気がして、それは、マルシュカのような人が報われる世の中であってほしいと、皆が望んでいるからだと思う。 もし、私に子供ができたら、こういう絵本を読んであげたいし、あなたが生まれてきた世界は、心のきれいな人が報われる、平等で素晴らしいところなんだよって、教えてあげたい。 たとえ、現実はそうじゃないのだとしても・・それでも、マルシュカのように、何度泣いたっていい。けれど、その後、マルシュカのように、またすぐに元気になれる、そんなしなやかさを持って、生きていってほしい。そんな思いを、私に抱かせてくれた。

Posted by ブクログ

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