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中世王権と王朝儀礼
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中世王権と王朝儀礼

遠藤基郎【著】

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中世王権と王朝儀礼

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京大学出版会
発売年月日 2008/11/07
JAN 9784130262187

中世王権と王朝儀礼

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2012/10/22

日本中世における「国家」の枠組みが統合的か分権的かという議論を前提に、王朝儀礼においての「国家」の関与度合いについて、国家統合的評価を行う井原今朝男、上島有らの学説に対する反論を主とした学術論文集。きょうび大概の研究書はかつての論文を集成したものが多い中で、後半半分は書き下ろしと...

日本中世における「国家」の枠組みが統合的か分権的かという議論を前提に、王朝儀礼においての「国家」の関与度合いについて、国家統合的評価を行う井原今朝男、上島有らの学説に対する反論を主とした学術論文集。きょうび大概の研究書はかつての論文を集成したものが多い中で、後半半分は書き下ろしという意欲作である。 第一部は、摂関・上皇・皇族が行う儀式、貴族が行う大臣大饗や五節舞姫献上、春日祭使といった非というか準・国家的儀礼を「非公家沙汰」と位置づけ、「国家儀礼」でないにもかかわらず実施される諸国所課の論理を説明する。諸権門に対する太政官権限の委任とか、国土統治権に基づく表明、また受領層による経済奉仕などと評価された先行研究に対し、それぞれの儀礼が「国家儀礼」的性格を帯びる政治的経緯を踏まえた上で、それを先例とした諸国受領層による贈与慣行が体制化されたものであるとする。そして、その体制化を主導したのが摂関期の道長・頼通であり、院政期以降には天皇家王権に組み込まれたとする。個人的には、今年の大河ドラマ「平清盛」でもシーンとして登場した五節舞姫の儀式について貴族の名誉とされていた話が興味深かった。(笑)達成された制度史的見地ではなく、政治的経緯と諸国所課の中身から導きだした結論は非常に説得力を持つ議論と考えるが、一方において、第二部にも言えることだが、官行事所もしくは蔵人所等の役人としての関与があるかどうかのみで国家儀礼か権門儀礼かと切り分ける議論は、請負家格の成立を考慮すると複雑に絡み合う人的要素を考慮せずにここまできれいに縦割りできるのかという議論の乱暴さも若干感じる。 第二部はほとんどが書き下ろし部分で、主に天皇家の御願寺での仏事を中世前半期というスパンで俯瞰した一連の論文集になっている。さらに摂関家における御願寺仏事の盛衰についても大変興味深いものであるが、特に六勝寺系寺運営の実態や、院領に蓄積される膨大な天皇家荘園群の政治経緯も面白かった。主論の天皇家仏事の変遷について言えば、摂関期までは律令制的天皇とその他皇族が行う仏事は国家組織関与の点において明確に区別されていたものが、院政期における律令制的天皇と治天との王権の二元性王権の成立過程とともに院司も関与する重層的行事へと個々に変化する仏事が登場し、中世王権の構造的・政治的現象と捉える。そして、皇統の分化・分裂による王権からの疎外がさらなる独立仏事を生み出すという成立過程はとても面白いものであった。 中世「国家」という存在に、太政官に「委任」されるべき「公」と「私」の境界線の明確化が可能であるのか、儀礼は「統合」を目的としていたのかという問題意識から、著者は中世的な自律集団としての主体性を評価しており、この視点での論述は大いに首肯できる。著者が最後に書かれているようにもう一方の「王権」ともされ、「武家権門」ともされる幕府論を本論にどう位置づけるのかが、今後興味深いところである。 先例に硬直していると思われがちな王朝儀式について、その政治経緯と変質を丹念に辿ることによって、自立した同時代的意義を論じた力作。

Posted by ブクログ

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