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雷神帖 エッセー集成2
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2008/11/10 |
JAN | 9784622073727 |
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商品レビュー
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4件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
雷神帖 ―エッセー集成2 風神帖とセットのエッセイ雷神帖なので、風神帖を読んだだけだと上下巻の下巻を読んでいないような気になってしまったので、雷神帖も読んでみました。 こちらの巻も書評が多いですが、写真を撮るということに関しての「カメラを持った密猟者」が印象的でした。写真を撮ることは撮られる側から見たら獲られることという視点。ファインダー(デジカメであれば液晶画面ですが。。。)を通して世界を獲るという行為の持つ意味。手軽に撮る利便性。そして、クリティカルな状況に遭遇した時に、撮るのか助けるのか? 去年Nikon D80とRicoh GX200を買って写真を撮りだした竹蔵としては、写真を撮るということに関して考えるきっかけになった気がします。まあ、考えたところで、良い写真が撮れるようになるわけではないですが、ユニークな写真が撮れるようになれたらなと思いました。 書評は、いろいろな寄稿の寄せ集めなので、ちょっと期待外れだったですが。 竹蔵
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一口に作家といってもいろいろで、文章を書くことや読むことに意識的な人とそうでない人がいるようだ。たった一人で世界文学全集を編集してしまう池澤夏樹などは、文句なく前者のほうに入るだろう。『雷神帖』は、先に出ている『風神帖』と対になったエッセイ集。『風神帖』は、空海の『風信帖』のもじりだろう。風神と来れば雷神だろうという遊び心にも、この作家の言葉や文化に寄せる思いが読みとれる。 そういう作家らしく、エッセイ集といっても本にまつわる話が多い。コンピュータやインターネットの普及が本という媒体にどんな影響をもたらすかという話題は、ひと頃よく持ち出されたものだが、現在では本はやはり本という形で存続していくだろうという一応の了解を得ているようだ。「一人の人間が相当の時間と知的努力を投入してまとめた、長大で奥行きのある重層的なテクストは、やはりきちんと製本してないと困る」というのが作家の意見。長篇小説のことを考えれば納得できるだろう。 池澤夏樹は福永武彦の子である。福永武彦といえば、ボードレールの翻訳者であり、芸術に造詣の深い詩人・小説家としてある世代には懐かしい名前だ。池澤は若い頃、父が限定版の凝った装幀の本を出すことに「プロレタリアート」として反発を感じていたという。レクラム文庫のような本こそが本ではないかという息子の文句に父は苦笑するばかりだったというが、パリで暮らすうちに近くにルリユールの工房を見つけた池澤は、ついには自分も特装本を拵えることになる。互いによく似た資質を持った父と子のそれ故に避けがたく起きる反発から和解へと至るその顛末を記した一文がいい。 書評家でもある作家は、書評も一種のエッセイだという。日本の書評は四百字詰原稿用紙にして五枚程度のものが多いから、長めのものを書くと書評にはならない。好きな作家や作品にまつわる文章がエッセイ集に多くなるのはそのせいか。名作といわれる『ユリシーズ』が実は「ものすごく読みにくい小説」であることを論じる「人間に関することすべて」や、社会主義への哀惜の念に満ちた「『フィンランド駅へ』を読んだころ」などでは、短い書評では味わうことのできない作家論、作品論をたっぷり愉しむことができる。 「昔、ぼくはなぜ作家が小説を書けるのか不思議でならなかった。頭の中にある不定形のもやもやとした曖昧な、そしてそのままでこそ魅力のあるものを紙の上に定着させてしまう不安に作家はどう耐えるのか(略)それがどうしても分からなかった。/曲がりなりにも書けるようになったのは、その時々世に問う作品はすべて仮のものであり、一つ一つで言い足りなかったり、言いまちがえたり筆に乗りきれなくて捨てたりしたものへの無限の未練をそのまま次の先への力にするということだった。書きつづけることが何よりも大事なのだ。」(「フォークナーの時間と語り」) 何度でも同じ逸話を繰り返して書くフォークナーを論じたこの文章の中で、作家は「作家」についての定義をおこなっている。曰く「小説を書いた者が作家なのではなく、書いている者が作家なのである」と。なるほどと、あらためて思い知らされた。作家にとって書いている間は、語り部が物を語っている行為に相当する。物語を書くということは、文字通り物を語ること、作家にとっては書くという行為の中にしかないのである。 他に、他言語を通して文学活動ができるこの作家ならではの海外を拠点にした活動から見えてきた日本や世界についての刺激的な論考を含む、読み応えのあるエッセイ集である。
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雷神帖は文化や政治に焦点をあてたエッセイ集。 優れた随筆というのはそれを読むことで自分自身の感性も磨かれます。 物事は善と悪、単純に二つに分かれているものではなく複雑に入り組んでいるものです。 事実がそこにあるのではなく、事実を個人がどう捉えるかという主観の違いでしかないのです。
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