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都会の幸福 WAC BUNKO
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ワック |
発売年月日 | 2008/11/11 |
JAN | 9784898315941 |
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都会の幸福
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商品レビュー
3
3件のお客様レビュー
本書は、17編のエッセイからなり、曽野綾子氏の郷土愛=東京愛に溢れた、東京擁護論、東京賛歌である。 冒頭の言は、「東京というところは、恥じらいが深く、郷土愛などというものを持つことを照れる土地だからなのである。東京に住む以上、野暮であってはならず、むしろ、粋であることをこのむ、...
本書は、17編のエッセイからなり、曽野綾子氏の郷土愛=東京愛に溢れた、東京擁護論、東京賛歌である。 冒頭の言は、「東京というところは、恥じらいが深く、郷土愛などというものを持つことを照れる土地だからなのである。東京に住む以上、野暮であってはならず、むしろ、粋であることをこのむ、という空気がある。」 そして、終わりのエッセイにあるのは、「誰か東京のために歌います、などという歌手がいるだろうか。それは、東京が愛されるに値しない土地だからではない。東京はほとんど退屈することもない、息を呑むほどすばらしい土地である。しかし誰も、東京のために歌いはしない。」 気になったことは次です。 ・自然は、人を実際に殺すだけでなく、まず、思考を妨げる。自然は理不尽に人の望みを砕き、運命を狂わせる。 ・都会は自然破壊の結果としての場所どころか、総ての人間の知性が高度に結集された場所である。 ・上坂冬子さんが或る時私に、東京の地価が高いのは当然だと思う。と語ったことがある。なぜなら東京の地価には、「魂の自由代が含まれているから」というのが彼女の意見であった。 ・他人の生活に深く立ち入らない、というのは、都会の最も愛すべき、「慎ましさ」だと言った人がいる。 ・下町の礼儀の中に、道で知人に会っても知らん顔をする、蕎麦屋ののれんをくぐる時知り合いの顔が中に見えたらその店に入るのをやめるというのがあるそうだ。 ・町をあげて、村をあげて、ということは悪ではない。という人もいるが、私は悪であるとおもっている。1つは、そのことによってその人の立場が単純にグループ分けされることである。もう1つの理由は、反対意見が健全に育っていない社会というのは危険を孕んでいるということである。 ・都会は個人を温かく埋没させる。このことが、人間に、自分に過信することもなく、思い上がることもなく、常に健全な一人の個人の感覚を保たせるのである。 ・異性と付き合うにはスマートさがなければならない。そしてスマートさの第一歩は、公正であること、秘密のないこと、相手の配偶者と親しく会話ができるようなおおらかで軽やかな心理状態であること、そして、付き合いにユーモアがあることなどが必要になってくる。 ・都会は本質的に、夢が破れた状態から出発する土地である。 ・純粋の東京原人と呼ぶべき人はごく数が少なく、都会に住む多くの人は出稼ぎ人だから守るべき東京地方色が定着するわけがないのである。 ・都会に暮らす幸福の一つは、教養のために意味のあるすべての手段を最高度に利用できることである。 ・人と同じことをするのは恥ずかしい、という基本的な心理は、どちらかというと都会的なものだと私はおもっている。とにかく理由もなく、人と同じことをさせられる時、屈辱を感じるのである。 ・都会では夫が偉くても、その妻は地方ほど社会的に地位が上がることはない。イナカというのは、ばかな女が大きな顔をするところである。 ・都会は実力の世界である。浅ましいほど実際的である。地方ではほんとうの実力社会は育たない。都会はその逆である。 ・都会は決して派手なところではなく、ただ、めいめいが自分の最も必要とするささやかな生活の条件、望み、といったものを確保することに何の遠慮もいらない所なのである。 ・地方では、冠婚葬祭は一生のハイライトなのである。都会では結婚式みたいなばからしいものはしないという「良識派」もたくさんいる。 ・葬式は、その家にとっては大事件だが、参列者の多くにとっては、義理で来るだけなのだ、ということを忘れてはいけないよ。と私の母は遺言のように言っていたのである。 ・都会ではそんなに結婚式や葬式にお金や時間をかけもしないし、人にもかけさせないようにすることができる。それこそ人に対する礼儀の基本と考えるからである。 ・都会では、憎しみあっている人が共に住める。これは偉大なことだ。 目次は、以下です はじめに 勇者にも卑怯者にも優しく 個人を温かく埋没させる ものごとを軽く見る英知 羞恥心ということ その人のことは知らない 人と同じは恥ずかしい 愛すべき変人たち 英語を話す庭師たち 小空間の主人 窓の向うの家族団欒 ヘロデ大王の栄華 渦中の人 トルティーヤの魅力 未亡人を慰める 心優しい「殺人鬼」さま 愛の証しを見せる人々 故郷のために歌うのではなく
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曽野さんがいうように、きっと魂には錨のようなものがあって、自分は生まれ故郷におろされているんだろう。この本全体を通して貫かれる都会礼賛がどうも都会出身者の世間知らずに思えて仕方なかった。対立する概念ではないはずだし、自分に取っては前作ヤマザキマリさんの著作のほうがよっぽど理解でき...
曽野さんがいうように、きっと魂には錨のようなものがあって、自分は生まれ故郷におろされているんだろう。この本全体を通して貫かれる都会礼賛がどうも都会出身者の世間知らずに思えて仕方なかった。対立する概念ではないはずだし、自分に取っては前作ヤマザキマリさんの著作のほうがよっぽど理解できる! というか、やはり読むタイミングまずかったかな。
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現代の煩わしさの半分も解決したも同然といえるほど、都会には魂の自由があるというけれど、地方に住人はそれ程、窮屈なストレスのある生活をしているのだろうか。 自分は生まれも育ちも東京なので他との比べようがないのだが、確かに人と人との関わりも希薄だとは思うし、人と違うことをしても異質扱...
現代の煩わしさの半分も解決したも同然といえるほど、都会には魂の自由があるというけれど、地方に住人はそれ程、窮屈なストレスのある生活をしているのだろうか。 自分は生まれも育ちも東京なので他との比べようがないのだが、確かに人と人との関わりも希薄だとは思うし、人と違うことをしても異質扱いな視線を浴びることもない。 個性を発するものの集まりであり、気は楽かもしれないが、それが幸福なのかというとどうなのだろう。
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