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あなたまかせのお話 短篇小説の快楽
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 国書刊行会 |
発売年月日 | 2008/10/25 |
JAN | 9784336048424 |
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あなたまかせのお話
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商品レビュー
4
3件のお客様レビュー
うーん。全体的に短い短編が沢山。特に内容はない。カフェなどでとりとめなく今日あったことをだらだら話す、そういう感じ?人間だけでなく普通に動物も参加してくるな。フランス語ってわからないが、読んでる最中に何だかピアノを弾いているような感覚が蘇ってきて。はたから見ると演奏者は自由に弾い...
うーん。全体的に短い短編が沢山。特に内容はない。カフェなどでとりとめなく今日あったことをだらだら話す、そういう感じ?人間だけでなく普通に動物も参加してくるな。フランス語ってわからないが、読んでる最中に何だかピアノを弾いているような感覚が蘇ってきて。はたから見ると演奏者は自由に弾いているように見えるだろうが、実際はリズムや旋律という決め事に沿っているのであり、意外に自由度は低い。この本が別にリズミカルというとそうでもなく。まあ、陽気な作品であるが。
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小さな遊び、オムニバス・ムービー、そんな感じ。本当にうとうとしたときにベッドで読むのにぴったり。 言葉の選び方、組み合わせがすごく綺麗。久々に出会った、何度も、ところどころ読みたくなる本。
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「そうかもね。僕にははっきり感じられるよ、君にとって僕の価値は爪切り以下なんだってね。ストッキングの伝線、靴のかかと、洋服屋の住所、エレベーターの故障にも及ばない・・・。」−『通りすがりに』 「ええ、単なる責任以上のものと言ってもいいでしょう。神が世界を創り給うたとき・・・神は...
「そうかもね。僕にははっきり感じられるよ、君にとって僕の価値は爪切り以下なんだってね。ストッキングの伝線、靴のかかと、洋服屋の住所、エレベーターの故障にも及ばない・・・。」−『通りすがりに』 「ええ、単なる責任以上のものと言ってもいいでしょう。神が世界を創り給うたとき・・・神は世界を言葉によって創ったと言われていますが、そのことが後にあらゆる厄介をもたらしたことはご承知の通りです。」−『レーモン・クノーとの対話』 クノーの「文体練習」を読んだとき、流れの中にある小さな「ずれ」、それは「すれ違い」と言い表すのが適当なようなものだが、を一瞬感じたのだったが、その流れが何度も何度も繰り返される内に、徐々に角が丸くなり、ずれはなめされてしまった。もともと「文体練習」は語り口の、言ってみれば言葉の並べ替えの面白さに力点のほとんどが集中しているようなものだし、ずれは言葉の入れ替えの内に埋もれていってしまう運命だった。 しかし、実はその最初に感じた小さな「すれ違い」、それはものごとが落ち着いて行くべき先に落ち着かないこと、それこそが、クノーの面白さの本質であったのかも知れないと、この「あなたまかせの話」読んで思い直した。 表題作となっている短編(?)は、そのずれを最も先鋭化させたような作品かと思うけれど、一つの文章の中で起こるであろうと予測されるようなものごとのベクトルは、決まって覆される。言葉はすぐさま全く別のイメージと結びつき、どんどん別の方向へ滑って行く。そんな例がクノーの本には溢れている。読み飛ばしてしまえば何ということもないギャップであっても、気づくと知らない場所を歩かされている自分を発見したりする。頭の中がくるくるっと回る感覚がとても楽しい。 でも実は楽しんでばかりはいられないのである。言葉は実に厄介なものだから。音の無い本の中にひっそりと潜んでいる言葉であっても、いやだからこそ、読み手によって確実に読み取られる意味が保障されてはいない。それはひょっとしたら言葉を紡ぎ出した者の意図をはるかに越えて、生き延びていく可能性がある。 言葉を連ねるとき、あるいは何かに書きつけるとき、少なくとも書き手は言葉に載せたい思いに強いこだわりがある筈だと思うけれど、クノーはひょっとすると、そんなことにはこれっぽちの意味もないんだよ、言葉としてそこにあることが全てなんだ、ということに誰よりも早く気付いていた作家なのかも知れない。
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