朝鮮戦争の社会史 避難・占領・虐殺

金東椿(著者), 金美恵(著者)

• 販売会社／発売会社: 平凡社
• 発売年月日: 2008/10/01
• JAN: 9784582454284

商品レビュー

2011/09/20

朝鮮戦争は近くで戦われ日本は米軍の兵站基地として戦争に協力して、戦争特需で敗戦後の経済復興が出来たのですが、戦争に付いては米軍の仁川上陸やジェット機同士の初めての空中戦などの戦闘行為の話しは本などにも書かれてたり、北か南かどちらが先に手を出したかや東西冷戦の中での政治力学等々は話題になっていますが、同じ民族同士が戦ったその中での民衆に付いては殆ど目にする事がありませんでした。
この本は戦争の中で民衆がどんな悲惨な事になっていたのか、今では北の共和国が先に引き金を引いたのは間違いが無い真実となっていますが、実際には1950年に戦争が起こる前からの対立構造や、日本の植民地支配が日本の敗戦後にどれだけ朝鮮半島に大きな傷を残したのか、解放後の南朝鮮で建国された大韓民国の今に繋がる大きな負の痕跡、今迄語られる事が無かった事が書かれています。
日本でも日米安保の強化や自衛隊に繋がる軍事組織の設立など決して他人事では無い筈の隣の半島での戦争で、我々この島の住民も考えなければならない事が沢山有る事を感じました。
先日の原発反対集会やデモに対する権力側の過剰警備や特在会の暴力行為に因って暴力を受けた側が逮捕される様な状態を見ると、朝鮮戦争の前後に事なわれた残虐行為は我々の前にも現実として起ってくる恐怖を感じてしまいます。