桃源遥かなり 徳間文庫

陳舜臣(著者)

• 販売会社／発売会社: 徳間書店
• 発売年月日: 1985/07/15
• JAN: 9784195678855

商品レビュー

2018/12/09

「桃源遥かなり」「揺れる」「香港便り」「燕の影」「天山に消える」の5篇。「揺れる」は神戸での殺人事件に巻き込まれる中国人船員の話っだが、その船員が被差別階級の水上生活者「蛋民」出身者。その意識をうまく描き出していた。「天山に消える」は戦前のシルクロードでの軍閥。さらわれて小軍閥の妻となった女性の復讐。いや、おそろしいというのが感想となるか。

2013/08/24

５つの短編からなります。特に「桃源遥かなり」は桃源郷或いは竜宮城をイメージさせる平和な海賊の島を若い日に訪問し、夢のような日々を経験した主人公・呉景雄が15年ぶりに飛行機の中からその島を探すが見つからない。若い日の思い出は海賊の女親分との甘酸っぱい恋の体験である。神戸港に上陸した船員の情婦の殺人事件の謎を解く「揺れる」、漢詩の大家・蘇曼殊の謎の人生と叔父に心酔するその姪の美少女・蘇紹椋「燕の影」、敦煌を思い出させるような西域の軍団長とその妻。そしてその末路。「天山に消える」などどれも短いながら魅力的な作品でした。