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シベリヤの旅 他三篇 岩波文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
| 発売年月日 | 1942/11/01 |
| JAN | 9784003262290 |
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シベリヤの旅 他三篇
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シベリヤの旅 他三篇
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1890年チェーホフが30歳の時に、突如シベリアを横断しサハリン島への旅を挙行したことは、以後数々の研究者や愛好者たちの「謎解き」の対象となった。 現代とは違って、19世紀の末にモスクワからはるばる東の果てのサハリン島まで赴くには、陸路(馬車)・水路(船)とようやく敷設がはじま...
1890年チェーホフが30歳の時に、突如シベリアを横断しサハリン島への旅を挙行したことは、以後数々の研究者や愛好者たちの「謎解き」の対象となった。 現代とは違って、19世紀の末にモスクワからはるばる東の果てのサハリン島まで赴くには、陸路(馬車)・水路(船)とようやく敷設がはじまった鉄道(もちろんシベリア横断鉄道はまだ開通していない)を乗り継いで数か月かかる。厳しい気候条件もさることながら、移動手段や宿泊場所の手配、それにかかる諸費用など、様々な難題に直面しただろう。しかもチェーホフには健康面での不安もあったというから、「作家としての見聞を広めるため」というような単純な理由だけではやりおおせない大事業だったと推測される。 しかしそれらの困難を乗り越え、旅行は実行された。4月にモスクワを発ち、7月にサハリン島に到着、約3か月滞在したのち、12月にモスクワに帰着した。その成果は「サハリン島」という旅行記にまとめられる。 この文庫本「シベリアの旅」には、「サハリン島」に先立って旅行での経験をもとに書かれた4つの作品が収められている。これらの作品からまず読み取れるのは、辺境の地シベリアの人々の絶望的な暮らしぶりである。以下は「シベリアの旅」に登場する、ピョートル・ペトローヴィチという「自前の馭者をしたり、宿場のトロイカを請負ったり、百姓をしたり、家畜の売買をしたりしている」男のセリフ。 「旦那、私はこう思うんですがね……」と彼は亭主に聞こえぬように小声でいう、「シベリアの人間は無学で不運な奴らだとね。半外套だの捺染更紗だの瀬戸物だの釘だのと、ロシアからはどんどん送って来るんですがね、奴等と来たらまるで能なしなんです。地面を耕すことと、自前馭者でもするほかには、何一つしやしません。……魚ひとつ漁れないんですからね。退屈な人間どもですよ。まったく堪らないほど退屈な奴等でさ。奴等と一緒に暮らしていると、際限なく肥って来ます。魂や智慧の足しになるものと来たら、これっぱかりもありませんや。憐れ憫然たる次第ですよ。それでいて一人一人を見るとみんな相当な人間で、気立は柔しいし、盗みをするではなし、喧嘩を吹掛けるじゃなし、大して酒飲みでもありません。人間じゃなくて、まあ金みたいな連中です。ところが見ていると、世の中のためには何一つせず、一文の値打ちもないくたばりようをするんです。まるで蠅か、さもなけりゃ蚊みたいなもので。一体何のために生きているのかって、ためしに訊いて御覧なさい。」(pp.127~128) チェーホフは、「人間とは何か」ということを、この旅の間も考え続けていたことに間違いはないと思う。 「グーセフ」の最後のシーンは、病気のため故郷に送り返される船の中で死んだ無期帰休兵グーセフの遺体が海中に投じられ、ゆっくりと漂い、そして鱶に喰われていくという幻想的なものだ。そしてこの映画的な視点は空に向かい、入日に映えて様々な色合いに変化する雲と海面とが描かれて終わる。何度読んでも美しく、深く印象に残るシーンである。
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刑罰の終身性に対する批判が興味深い。終身刑は、犯罪者を社会から永久に追放するという点で、死刑を少し見栄え好くしたに過ぎないという。死刑・終身刑を笞刑と同様に野蛮と看做す文化はいつか訪れるのか。
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