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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 朝日新聞出版 |
発売年月日 | 2008/10/30 |
JAN | 9784022644572 |
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3.5
4件のお客様レビュー
五條・大塔村 太平記、南山踏雲録、天誅組、十津川郷士等に触れながら五條から十津川へ至ります。 天誅組に関する箇所は日本の近代史に疎いこともあり、読みこなすのが難しかったですが、これを機に少し勉強してみようとも思いました。 「ともかくも十津川村は、さまざまな歴史の通過地として...
五條・大塔村 太平記、南山踏雲録、天誅組、十津川郷士等に触れながら五條から十津川へ至ります。 天誅組に関する箇所は日本の近代史に疎いこともあり、読みこなすのが難しかったですが、これを機に少し勉強してみようとも思いました。 「ともかくも十津川村は、さまざまな歴史の通過地として華やかである。それにひきかえ、北隣りの十二村荘はなにごともなかった」と記される大塔村(十二村荘)について、「なにごともなかった」(p.81)と記しつつも、著者によって記されるその歴史はとても興味深いものでした。 十津川村 子供の頃、母の実家へ向かう折に十津川村を抜けたことがあり、川向こうの木々の中に点在する家々・学校を見て、子供心にここの生活はどのようなものだろうか、どのようにしてこの地に住まうことになったのかと、感じたことがありました。 「田中や那須という人間への関心ではなく、逃げ込むということへの関心である。日本は陸つづきの国境がないために他国へ亡命することができず、せいぜい天険をよじのぼって山家に入りこむしかなかった。古来、十津川がその適地として選ばれつづけ、…」(p.139)と述べる著者の言葉が、自分の十津川に対する望郷のような感情の一部を言い当ててるように思いました。 本章では十津川郷を中心として、十津川と関わった人たちが去来し、十津川の歴史が縦横無尽に語られています。 教科書的な大きな事象から、十津川に住む人たちの生活の一端も垣間見ることができます。 本書の最後、玉置山から十津川最南端の果無山脈を抜け七色に至ります。重厚な十津川をまさに今、駆け抜けてきたような気分に包まれました。
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司馬遼太郎の街道をゆくを頭から読んでみよう企画も12冊目になりました。今回は十津川編。十津川といえばば五條から新宮行きのバスに延々と乗って行くところと言うイメージですが、そんな山がちな所だから逆に周囲の政治勢力から独立していたとは面白いですね。 しかし幕末の勤王の志士は訳判らんこ...
司馬遼太郎の街道をゆくを頭から読んでみよう企画も12冊目になりました。今回は十津川編。十津川といえばば五條から新宮行きのバスに延々と乗って行くところと言うイメージですが、そんな山がちな所だから逆に周囲の政治勢力から独立していたとは面白いですね。 しかし幕末の勤王の志士は訳判らんことばかりしてますなぁ
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
奈良県の十津川の街道をゆく。十津川という地名は、「遠つ川」が語源ではないかと著者は推測している。 この作品を読んで肌で感じることができたのは、十津川が世に置き忘れられていた地であったということ。山々に囲まれ、谷を渡るのに「野猿」という道具を使い、南北を走る道路の完成までに半世紀以上を費やしていることなどから、いかに外部との接触を図ることが難しかった場所であったかが推測できる。 おもしろかったのは、この「陸の孤島」であった十津川には、あまり否定的な側面が見受けられない点である。米が十分に獲れないということで、徳川時代には免祖地となっている。本来ならば社会に貢献できない立場として後ろめたさを持ちそうだが、著者が分析する十津川からはそれが感じられない。むしろ、免租地であることを誇りに思っていると捉えている。 なぜ十津川の人たちは「陸の孤島」を誇りに思っていたのか。以下は自分なりの解釈であるが、こうした天嶮に阻まれた土地であるが故、いわば江戸時代に我が国が経験した「鎖国」と同様、良くも悪くも独自の文化や習慣を身に付けてきたと考えられる。本来ならば外界との接触により、差別を生んだり、支配・服従の関係を生んだり、あるいは文化や習慣も淘汰されたりするであろう。そのとき、自己否定や劣等感などの感情をもたらす。しかし、十津川は地政学的にそのような運命を辿ることはなかった。これが十津川の明るさに繋がっているではないだろうか。 一方で、いまや人やモノ、サービスが世界規模で往来する時代である。これまでとは違い、近隣府県のみならず、世界のあらゆる波が十津川に押し寄せてくる。グローバル時代を迎えた今、十津川はどのように長年培ってきた歴史を守っていくのか、気になるところではある。
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