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アイデンティティ
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 金沢文庫 |
| 発売年月日 | 1973/04/20 |
| JAN | 9784873390154 |
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アイデンティティ
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こんにちよく使われる「アイデンティティ」という、私が大嫌いな言葉を定着させたE. H. エリクソンの本(1968)。 批判的に読んで徹底論破してやろうとおもって買ったのだが、そこまで読み込む価値もなかった。 実はエリクソンは精神分析学派の末裔なのだが、精神分析も、フロイトという天...
こんにちよく使われる「アイデンティティ」という、私が大嫌いな言葉を定着させたE. H. エリクソンの本(1968)。 批判的に読んで徹底論破してやろうとおもって買ったのだが、そこまで読み込む価値もなかった。 実はエリクソンは精神分析学派の末裔なのだが、精神分析も、フロイトという天才を部分コピーしていく過程でどんどん劣化していく(異常な飛躍、ラカンはとりあえず除く)。 だがエリクソンの諸概念はもはや精神分析とは全然関係ない。ただの一般心理学である。 エリクソンはフロイトが個人的精神の「閉じた系」に留まったことを補うため、社会や集団という枠組みの中で個人心理を捉え直そうとする(社会心理的、という妙な言葉を使って)。が、これはもはやフロイトとは何のつながりもない。 彼は自分の専門以外に関しては全然教養のない人だったのだろう。「自己」とは何か、「集団」とは何か、「社会」とは何か、という根本的な問いが欠落したまま、物象化論的パースペクティヴで社会学的な記述をだらだらやっているだけだ。つまり現象学的な視線が欠如している。 俯瞰的に見られた個人の「役割」がどうのという言説は、まさにアメリカ的なプラグマティズムの様式にぴったりで、だからアメリカで「個人心理学」が流行したのだろう。そして日本ではアメリカから心理学を輸入したので、こんにちの心理学の教科書は、こういう個人心理学(通俗的!)をなぞっているだけの、つまらないシロモノだ。 こんな通俗心理学が、なにかの役に立つとは私には思えない。 そもそもエリクソンは「アイデンティティ」という概念を自分でもはっきりと定義できないままに振り回している。「アイデンティティ」も「パーソナリティ」も、哲学的な見地からはそう簡単には受け入れられない概念である。 文章もつたなくて、難しいことを言っているわけでもないのに非常に読みづらく、読むのが苦痛だった。 つまらない本だった。
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