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驕れる白人と闘うための日本近代史 文春文庫
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驕れる白人と闘うための日本近代史 文春文庫

松原久子【ドイツ語原著】, 田中敏【訳】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2008/09/10
JAN 9784167753054

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商品レビュー

4.4

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2024/01/18
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※このレビューにはネタバレを含みます

 江戸幕府時代に鎖国していた日本は、ヨーロッパよりも遅れており、開国し欧米諸国が入ってきて、援助したからこそ近代化した。西洋人が苦労して勝ち得た技術を、ポッと出の日本が横取りして世界の表舞台に出てきたことが気に食わない。というのがヨーロッパ人から見た日本。そもそも西洋人は自分達が世界の中心だと思っている。自分達と違う人は劣っている。だから未開の地に行って搾取するのは当然のこと。技術の供与やキリスト教の布教をしてあげた分感謝して欲しいと思っているくらい。  しかし鎖国前から日本は識字率が高く、飛脚や寺子屋といった郵便や学校の元となる下地が既にあった。だからこそ技術を取り入れることができた。植民地化されて搾取されるだけの国にならず、独自の発展を遂げることができた。  ヨーロッパは陸続き、貧富の差を解消するためには、隣国に打って出るのが常。日本は島国であり、打って出る相手がいなかった。内乱を防がないと自滅するため、国内で問題解決しなければならなかった。実際にヨーロッパでは戦乱が絶えなかったが、鎖国中の日本では戦乱や一揆などはほぼ皆無であった。自然災害による飢饉が引き金になることはあっても、人為的に起こる戦乱は無かったとされている。  日本では開国して一気に内乱が増えた。ヨーロッパの考えに基づいた農地改革がされ、これまで士農工商で豊かだった農民が、富裕層に搾取されるだけの弱者になってしまった。  ヨーロッパはインドや中国に進出してきた際に、貿易赤字に陥った。貿易黒字にするために、奴隷を輸出したりもした。最終的には徹底的にインドや中国を潰した。攻撃し、産業を破壊し、ヨーロッパへの原料産出国としてのみ活用する。自国で生産できないようにすれば、ヨーロッパで加工したものを植民地に売りつけられる、というシステムを編み出した。アヘン戦争などもヨーロッパの戦略である。  江戸幕府はそれを見て恐れた、最初は友好的であっても、一度開国したら根こそぎやられる、という恐怖から開国を拒んだが、攻撃に耐えきれず開国する。平等だと言われた通商条約は全く平等ではなく、領事裁判権、関税、換金率などで日本は大きな痛手を受けた。日本人が殺されても裁けず、逆行して西洋人を殺害すると、街全体が砲撃される。人々の不満が募り幕府は崩壊する。新政府は天皇を中心とした明治政府になる。  明治政府は今の苦しみは全て幕府のせい、と幕府をスケープゴートにした。西洋を見習うべきだ、日本は恥ずべきだから耐えて忍んで、いつか西洋に肩を並べるのだと言い聞かせた。西洋が優れていると叩き込まれた日本人は、日本を卑下するようになった。  日本は第一次世界大戦、日露戦争で西洋諸国にその地位を認められ、朝鮮侵略で西洋と同じことをしてしまう。西洋人に習い植民地化する側に回った。第二次世界大戦で敗戦すると、逆に西洋人に諌められ、争わない誓いをすることになったのは皮肉でもある。そもそも植民地や戦乱を持ち込んだのは西洋人の風習であったのだが。

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2020/09/17

ヨーロッパ、アメリカ社会が契約、条約、マネーで世界を掌握していったのか。 それに立ち向かうには日本の縦と横の糸を知る必要がある 縦=鎖国時代の基調な経験 横糸=西洋化 物事を決めるのに時間がかかる。コンセンサスが基本。個人が職業を選ぶときも、一生を託す仕事と自覚して時間をかけて...

ヨーロッパ、アメリカ社会が契約、条約、マネーで世界を掌握していったのか。 それに立ち向かうには日本の縦と横の糸を知る必要がある 縦=鎖国時代の基調な経験 横糸=西洋化 物事を決めるのに時間がかかる。コンセンサスが基本。個人が職業を選ぶときも、一生を託す仕事と自覚して時間をかけて決める。なので、会社や組合単位でなかなか合理性を見出すことができない 日本人は言葉で明確かつ簡潔に表現することが苦手。異なる意見を持っている者に対して、冷静に言葉で防衛するという能力を培っていない。 日本人は「大勢追従主義」を手放し、日本人の均質的な行動を手放し、自我をもつこと。 そのために今一度縦糸を見なす必要がある。

Posted by ブクログ

2020/08/20

なんとなく欧米は進んでいて良いものだというイメージで語られがちであるが,まぁなんと残酷な歴史を持っているのだろう。弱肉強食,目的のためには手段を選ばず,生き残りと繁栄をかけてきた民族の子孫だ。繁栄するためには搾取する側に回り,搾取する対象を作る。こんな民族にヘラヘラ追従しているよ...

なんとなく欧米は進んでいて良いものだというイメージで語られがちであるが,まぁなんと残酷な歴史を持っているのだろう。弱肉強食,目的のためには手段を選ばず,生き残りと繁栄をかけてきた民族の子孫だ。繁栄するためには搾取する側に回り,搾取する対象を作る。こんな民族にヘラヘラ追従しているようなら力で屈服させられる。過去に日本は,力の圧倒的な差によって危険にさらされ,彼らの価値観(黄色人種の未開人の異教徒)ややり方(力にものを言わせて屈服させる,動物以下)を学び,戦争を経て,今のフワフワした,彼らの価値観に染まって自国の歴史に根付かない(根付けない)民になっている。もしかしたら,これは彼らの長期的な戦略なのかもしれないと思うと恐ろしい。 読み進めていくうちに「がんばれ日本!」となってくる。欧米列強が平和に過ごしている日本に迫り,いいようにやられ,その後50年かけて状況を改善しようと欧米列強に追いつく。その先は帝国主義に陥り,戦争に負け,美辞麗句の下に拠って立つ歴史や文化の価値を自発的に失うよういいようにやられてしまう。歴史という縦糸が切れてしまえば,時代という横糸で模様は作れない。平和な時代だからこそ,歴史を謙虚に見つめ,次に伝えていく必要があるのだろう。

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