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俺 勝新太郎 廣済堂文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 廣済堂出版 |
発売年月日 | 2008/09/08 |
JAN | 9784331654323 |
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俺 勝新太郎
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商品レビュー
4.3
6件のお客様レビュー
CS放送の「映画・チャンネルNECO」にて、勝新太郎生誕85年を記念して「座頭市」シリーズなどの作品を放送してゐます。個人的にカツシンはあまり好きではないのですが、座頭市や悪名のシリーズは割かし好きで、全部観てゐるのでした。 そのカツシンが自らを語つた一冊。インタヴューをプロのラ...
CS放送の「映画・チャンネルNECO」にて、勝新太郎生誕85年を記念して「座頭市」シリーズなどの作品を放送してゐます。個人的にカツシンはあまり好きではないのですが、座頭市や悪名のシリーズは割かし好きで、全部観てゐるのでした。 そのカツシンが自らを語つた一冊。インタヴューをプロのライターが纏めたのか、あるいは本人の筆によるものか、何となく後者のやうな気がします。 この人が自分を語るのだから、さぞかし過去の豪快な歴史を露悪的に披露して、どうだい俺はこんな悪い奴さ、などと自慢する内容だらうかと想像したのですが、さういふ面はあまりありません。麻薬不法所持の件も、案外さらりと書いてあります。 それよりも、本道である芸について語つた諸諸が興味深い。専門の長唄は勿論ですが、歌舞伎については「俺と同年代ぐらいの俳優で、歌舞伎の話をできる俳優は少ないと思う」と語るだけあつて、六代目菊五郎、先代吉右衛門、十五世市村羽左衛門などについては、無知なわたくしにも伝はるやうに、独特の表現で論じてをります。 一俳優の枠に収まりきらず、個性的な演出家としても有名なカツシン。従来の、脚本に雁字搦めの演技を嫌ひ、俳優がこの後、自分が驚くことが分つてゐるのはをかしい、といふ。「偶然=完全」と称し、NGぎりぎりの演技が理想だとか。今までの予定調和の中で作られたドラマが、いかに退屈なものだつたかを、観衆(視聴者)に悟らせなくてはいけない。まあそれは分かるが、監督の顔も立てずに現場を混乱させるのはよろしくないね。こんな人が黒澤明監督の映画(「影武者」)に参加しても、衝突はあらかじめ分かつてゐたではありませんか。黒澤から首を言ひ渡されるのは当然と申せませう。 わたくしも実は、TV版「座頭市」の後半とか、「警視-K」みたいな前衛映像はあまり好まない。一般的に、観客を愉しませることよりも、自分が撮りたい映像を優先させる姿勢は、いかに能力が有つても、それは才能の浪費ではないでせうか。 関はつた俳優仲間たちとの交友も、控へ目ながら触れてゐます。裕次郎からは「きょうらい」と呼ばれてゐたとか、東京で成功した田宮二郎が高級車を自慢するとか。俳優ぢやないけれど、谷川徹三との交友は意外であります。カツシンも泣いたといふ谷川先生の奥方の話は、わたくしもしんみりしました。 それにしても、まだ生誕85年。改めて早すぎる死を惜しむのであります。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-676.html
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下記に抜粋するような哲学を持った役者がつくった作品が、面白くないわけがなかろう。 改めて思う。勝新太郎は枠にはまらないため誤解されがちだった偉大な役者だった……。 ものをつくる人は自分の中で「YES/NO」が言える『神』を持たなくちゃいけない。経験してなくちゃいけない。ものをつ...
下記に抜粋するような哲学を持った役者がつくった作品が、面白くないわけがなかろう。 改めて思う。勝新太郎は枠にはまらないため誤解されがちだった偉大な役者だった……。 ものをつくる人は自分の中で「YES/NO」が言える『神』を持たなくちゃいけない。経験してなくちゃいけない。ものをつくる人が、ほかの人に聞いて、「あの人がこう言ったから、これでいいんだな」なんて言ってたんじゃだめだ。どっちにしようかなんて。ものをつくる人っていうのは、人に聞けないよ。聞いたらキリがないよ。人の生き方っていうのかな、それは、自分の性質がつくっていっちゃうんだね。必ず、どんな事件も自分の性質でつくり、自分の性質で解決法も見つける。 心ある、本当の道をめざす人間は、自分だけの道を歩かなければならない。あえて、今まで、誰もが歩かなかった道を歩かなければならない。千里の道を歩いていく中で、心に芽生えた疑問、芽生えた愛、芽生えた醜さ、芽生えた尊さ、いとおしさ、いつくしみ、すべてを、自分だけにしか表現できないやり方で、表現しなくてはならない。 (俳優というものは、人間ではあるが、)自らを売り出すための商品価値、生まれつきの自分自身とは違う、世間に認められる名前、商品価値を別に身につけなくてはならない。そして最終的には自分自身をいちばんの商品価値にすることが真の希少価値のなるのである。 どこかで作られたもの、誰かが作ったもの、ヒットしたもののイミテーションによってつくられ、売り出されたものであってはならない。そんなものは商品価値にならない。歴史に名をとどめる価値にはならない。世間がどんなにほめそやそうと、そんなものに溺れたら、いつか、自分の心が、自分を許せなくなり、イミテーション価値の重荷に潰され、身を滅ぼす。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最後の最後になって、「電気菩薩」の語が出てきて、「おー、そういやそうだった。」と根本敬を思い出した。しかし独特の文体で、途中で誰のセリフかわからなくなったりするのはご愛嬌。吉田豪があとがきに書くとおり、もっと書いといて欲しかった事件は山盛に残っている。
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