ビッグ・ヒート 創元SF文庫

ウィリアム・P.マッギヴァーン(著者), 杉浦安(著者)

• 販売会社／発売会社: 東京創元社
• 発売年月日: 1960/01/22
• JAN: 9784488134044

商品レビュー

2015/06/17

警察官が自殺した。捜査の結果も、やはり自殺だった。しかし、元愛人は信じられず、担当のデイブ・バニオン警部補に事情を話した。その後、元愛人は殺され、バニオンには捜査をやめるよう圧力がかかる。フィラデルフィアの有力者ガラナとストーンの影を感じたバニオンだが、元愛人を助けられなかったのを悔やみ、捜査を続行した。そんななか、バニオンの車を車庫に入れようとした妻が、車ごと爆発され死亡した。復讐を誓うバニオンは警察をやめた。

妻の殺害の実行犯を探し、背後にガラナとストーンの存在を確認した。また、二人が元愛人の殺害にも関与していることを知った。

ストーンの情婦デビーは、ストーンにコーヒーをかけられ、顔にやけどを負い、バニオンのもとに逃げてきた。

自殺した警察官は過去の汚職を悔やみ、その証拠の書類を残して自殺した。しかし、この書類は妻によって隠され、ガラナとストーンを脅す材料となっていた。バニオンは自殺した警察官の妻に書類を渡すよう説得するがうまくいかず、力ずくでも奪い取ろうとしたが手を下すことはできなかった。バニオンとの会話からすべてを察したデビーは妻を殺し自殺を図る。妻が死んだ場合は証拠が公になり汚職の実体が明らかとなる。デビーはこれがストーンへの復讐となると考えたのだった。

デビーは助からなかったが、バニオンは娘との新たな生活にふみ出していく。

2007/09/17

警察権力の腐敗構造を生々しく描き出す一方で、社会性を前面に押し出し、読む者に一石を投じる社会派のミステリーとして高い評価を勝ち得ている。