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帽子収集狂事件 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 1960/09/23 |
JAN | 9784488118044 |
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帽子収集狂事件
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商品レビュー
3.9
17件のお客様レビュー
『密室以上のトリック…
『密室以上のトリック』と絶賛された作品。怪奇的であるばかりかどこかとぼけたユーモアがあり笑ってしまいます。
文庫OFF
ギデオン・フェル博士もの。 ロンドン塔の逆賊門で一人の男の死体が発見される。死体は服装に不似合いなシルクハットをかぶっていて、折しもロンドンでは他人の被っている帽子をひょいと盗む「帽子収集狂」騒ぎが起きており、シルクハットもそうして盗まれたものの一つ。被害者の叔父の家ではポーの未...
ギデオン・フェル博士もの。 ロンドン塔の逆賊門で一人の男の死体が発見される。死体は服装に不似合いなシルクハットをかぶっていて、折しもロンドンでは他人の被っている帽子をひょいと盗む「帽子収集狂」騒ぎが起きており、シルクハットもそうして盗まれたものの一つ。被害者の叔父の家ではポーの未発表原稿の盗難事件も起きており… というもう設定だけで面白そうすぎる。結末もあっと驚くものがあり、かなり満足。新訳が出ているのに旧訳で読むのはどうかな、と思ったけど案外スルスルだと読めた。これまでに読んだカーが、わりと重厚なものが多かったので、フェル博士のおかしなキャラクターがかなり興味深くて面白かった。ゴム製のネズミが飛び出すくだりなんか思わず吹き出してしまった。 しかしまあ結末よ!そんな陪審制みたいな…と思ってしまった。今時のミステリだったらこの結末には絶対しないのではないかしら。でもこれはこれで味がある。「絶対にしゃべるな!」と叫ぶフェル博士の人間味よ…。 解説で中島河太郎がなんで「マッドハッター」なんだみたいなことを書いてるのが、そうか不思議の国のアリスがそこまで人口に膾炙してない時代の解説・訳なのか!という発見になってかなり興味深かった。 唯一残念だったのがロンドン等の見取り図がすごくわかりにくいこと。どこが建物なのかとかがさっぱりわからん。新訳だと違う図なんだろうか? ロンドン塔自体はなんとなくイメージはあるんだけど。観光名所をこんなふうに使うのもおもしろいな。
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フェル博士シリーズ第2作目で私にとって初めてのカー長編。私はこの作品でカーが好きになった。というよりも「カーってこういう作家なんだ」と理解した作品である。 盗まれたポーの未発表原稿の捜索とロンドンで頻発する帽子盗難事件が同時進行的に語られ、やがて帽子盗難事件の犯人と目されている...
フェル博士シリーズ第2作目で私にとって初めてのカー長編。私はこの作品でカーが好きになった。というよりも「カーってこういう作家なんだ」と理解した作品である。 盗まれたポーの未発表原稿の捜索とロンドンで頻発する帽子盗難事件が同時進行的に語られ、やがて帽子盗難事件の犯人と目されている「きちがい帽子屋」を追っていた新聞記者がシルクハットを被った他殺死体として発見されるという、3つの事件が錯綜する非常に贅沢な内容になっている。 実は私はこの殺人事件に関してはほとんど覚えていなく、それ以外のポーの未発表原稿の行方と帽子盗難事件の方が非常に鮮明に記憶に残っている。それほど私にはインパクトがあったのだ。この全く関係ない2つの事件がある接点で結びつく。それはある人は非常にバカバカしいと思うだろうが、私はよくもまあ、こんなことを思いついたもんだと非常に感心した。この着想の妙がツボにはまり、一気にカーが好きになってしまった。 そして乱歩もこの作品を推しており、黄金期ミステリ十傑の中に入っている。しかしカーの他の作品を見渡してみると、この作品以上に出来のよい作品はまだあり、ミステリ読者ならびに書評家の中には「よりによってなぜこれを?」という疑問の声は多い。しかし私はなんとなく乱歩が本作を選んだ意味は解るように思う。ポーの未発表原稿盗難事件と帽子盗難事件という全く接点の無いと思われた事件が、シルクハットを被った他殺体という接点で結ばれる、この着想を買ったのだと思う。私同様、これをバカバカしく思わず、何たる発想と快哉を挙げたに違いない。 ちなみに本書の原題は“The Mad Hatter Mystery”という。現在ならば“Mad Hatter”と云えば、エラリー・クイーンの『Yの悲劇』の方が広く知れ渡っている。後年になって私はクイーンのその作品を読んだが、なんの共通点も見出せなかった。『Yの悲劇』が1932年の作品で本書が1933年の作品であるから“Mad Hatter”という呼称を通じて、イギリスで何かあったのかもしれない。時間があれば今度調べてみたいと思う。
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