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謎のエヴァンス 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 1960/04/30 |
JAN | 9784488105181 |
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謎のエヴァンス
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謎のエヴァンス
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『おやじにはわからないのだ。ひどく心を打たれたからこそ、あとではかえって冗談らしく表現するものだということ――それがおやじにはわからない。説明したって、わかることじゃないしなあ。ひとの死とか悲劇とかいうものについては、黙して語らずよりほかないのだ。しかし、どうすれば満足するんだ?...
『おやじにはわからないのだ。ひどく心を打たれたからこそ、あとではかえって冗談らしく表現するものだということ――それがおやじにはわからない。説明したって、わかることじゃないしなあ。ひとの死とか悲劇とかいうものについては、黙して語らずよりほかないのだ。しかし、どうすれば満足するんだ? 五十を越した人間にはなんにもわかりゃあしないじゃないか。考えることときたら、とてつもないことばかりだ』―『2父親というもの』 サラ・フェルプスの大胆な脚色を施した脚本によるBBC制作のアガサ・クリスティ原作のミステリーのドラマは、「そして誰もいなくなった」や「ABC殺人事件」あるいは「検察側の証人」などのクリスティの代表的な作品の舞台設定はそのままだが、細かいプロットは必ずしも原作に忠実ではないとはいえ、現代風の人間臭いドラマに仕立て直されていて毎度興味深い。好き嫌いはあるだろうけれど。今放送されている「なぜエヴァンスに頼まなかったのか」はサラ・フェルプスの脚本ではないが、初期の代表作の一つと言われているけれど、どんな話だったかは記憶にない。と思って昔買った東京創元社の文庫を探してみたら「謎のエヴァンス」というタイトルの一冊が出てきた。今はもうなくなってしまった本屋の緑色のブックカバー(クリスティものは全てここで買ったのでカバーも揃っている)、定価380円。何故か別の店(高校のあった町の駅にあった)のレシートが挟まっていて高校生の頃に買ったということも判明する。小さな謎解き。 映像による印象かも知れないが、BBC制作のクリスティのドラマは、原作よりも登場人物たちの葛藤や犯罪の裏にある人間の薄暗い部分などが丹念に描かれいるように映る。やはり映像化するにあたって文字には記されていない時代の雰囲気などや社会性みたいなものを出してくるんだなと思っていたのだが、改めて今クリスティの原作を読んでみると、意外に本筋とは関係のない会話などに時代性や人の価値観や悩みのようなものが書かれていることに気づいた。しかも、既に100年近く昔の作品であるにもかかわらず、その描写は案外と現代にも通じるものであるようにも思える。長年読者を掴んで来たクリスティは、やはり単なるミステリー作家ではなく、作家としての力量も優れていた人なのだなと今更ながらに認識する。そういえば全然関係ないが、高校生の頃にヴァネッサ・レッドグレーブとダスティン・ホフマンの主演した映画、クリスティの失踪事件を描いた「アガサ/愛の失踪事件」を観たことを不意に思い出した。 ところで、この本を読み返して見るまで、クリスティの作品はどちらかと言うと上流階級に属する人々が多く登場し、人間ドラマよりもミステリーの謎解きに面白味があるように思っていた。ミステリーの女王、だし。だからだと思うが、ミス・マープル(個人的にはポワロより好き)もポワロもどちらかと言えば安楽椅子探偵で、ホームズとワトソンのように現場を駆けずり回ったり、地面に突っ伏して虫眼鏡で残留証拠を探して覗いたりするような場面は余り連想出来ない。しかし、この作品では二人の素人探偵がホームズとワトソンさながらに動き回るのみならず、上で書いたような、なるほどBBCのドラマで脚本家たちが演出したかったのはこういう部分なのかと思わせる要素が実はさらりと書いてあるのを再認識して少し意外だった。だって例えばジョン・マルコヴィッチがポワロをやった「ABC殺人事件」なんて、知られざるポワロの苦しみや大戦前のきな臭い状況における異邦人の置かれた立場の困難さとか、ある意味余計なストーリーが入ってくるけど、それって例えば「シャーロック」シリーズでやったような創作的脚色(あるいはオマージュ)なのかなと思っていたのだ。けれど実は若い時には読み飛ばしていた作家クリスティの面白味というのがあるのかも知れない。ドラマを観た後で原作との違いを知りたくて(例えばヘイスティングスが出て来ない、とか)英語でも読んでみたのだけど、会話の面白さを読み砕くところまでは理解できなかったな。ちょっと翻訳で「ABC殺人事件」も読み直して見ようかなあ。本って読むたびに違う発見があるね。
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以前私が読んだ時のタイトルは原題通り「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」という長ったらしいタイトルだったのだが…(Why didn't they ask Evans?)ポアロ、マープルというクリスティの名探偵は出てこないがクリスティの冒険ミステリーの代表作と言えるだ...
以前私が読んだ時のタイトルは原題通り「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」という長ったらしいタイトルだったのだが…(Why didn't they ask Evans?)ポアロ、マープルというクリスティの名探偵は出てこないがクリスティの冒険ミステリーの代表作と言えるだろうか。原題通りの言葉をダイイング・メッセージとした転落死からこのミステリーは始まる。物語は若い男女が軽快で無謀に楽しく活躍する(失礼)ので、終始楽しく読めるところが好きだ。エヴァンズを探しながら、謎を解こうとするたびに新たな罠や危険に直面するのだが、若い二人は必ず幸運に恵まれて突き進むところが読んでいて楽しい(笑)いったいエヴァンズは実在するのか?という謎が物語の最後まで読者を惑わせてくれる。
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