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何用あって月世界へ 山本夏彦名言集 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2003/07/10 |
JAN | 9784167352172 |
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何用あって月世界へ
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商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
時流がどうであろう…
時流がどうであろうとも、ほんとのことをきっぱり、一刀両断で言い切る名言集である。反骨精神の神髄、ここに極まれり、そういう背筋の伸びた本です。山本夏彦を知る、その道しるべになる本です。
文庫OFF
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
名言集なので、感想といっても…。 付箋をたくさんつけたので、私の感想を付しながら引用を。 ”本というものは、晩飯の献立と同じで、読んで消化してしまえばいいものである。記憶するには及ばないものである。何もかも記憶しようとするのは欲張りである。忘れまいとするのはケチである。” 私は忘れまいと記録しているケチ野郎である。 だって読んで消化できない部分も、記録しておけばそのうち消化できる時がくるかもしれないじゃない?←それをケチケチ根性という ”私は、正直者は馬鹿をみるという言葉がきらいである。ほとんど憎んでいる。まるで自分は正直者だと言わぬばかりである。この言葉には、自分は被害者で潔白だという響きがある。悪は自己の外部にあって、内部にないという自信がある。” ”非は常に他人にあって、みじんも自分になければ、経験が経験にならない。” この2つは、大きな声で言わないけれど、私も小さい声で結構言ってたわ。 人のせいにして反省しない人に限って、同じ過ちを繰り返すよなあって。 もちろんすべての正直者が馬鹿を見るとは思っていないし、馬鹿を見た人のすべてが正直者だとも思っていません。 ”「告白」というものは多くまゆつばである。自慢話の一種ではないかと私はみている。” なるほど。確かに。 ”明治時代の翻訳は、鷗外(森)、二葉亭(四迷)、思軒(森田)、涙香(黒岩)のそれのように、何よりよい日本語でなければならなかったので、読んでよく分かりましたが、大正昭和になってからは原文に忠実なことを第一にしたので、勢いよい日本語ではなくなりました。こうして難解な翻訳による日本語の支配の時代が始まります。” とはいえ、現在は漱石は読まれても鷗外すらほとんど読まれなくなったそうです。 舞姫とか高瀬舟も教科書から消えた、と。 黒岩涙香のは翻訳ではなくて翻案だからなあ…でも確かに勢いがあって面白い。 ”十なん年前はじめて世間が創価学会を袋だたきにしたとき、ひとり袋だたきにしないことは許されない。かくて日本中の紙面は袋だたき一色になって、それでも彼らは強いられた自覚がないから言論は自由だと思っている。” この、みんながみんな同じ論調というのが、ただいま現在も継続中で、それがとても気持ち悪いの。 そして袋だたき。 この容赦なさを垂れ流しておいて、「いじめはいけません」の説得力があると思っているのだろうか。 厳格と寛容の両立ってそれほどまでに難しいものなのだろうか。 ”あれ、老衰の兆候なんですよ。年とってから一番避けなくちゃならないのは、人生の師匠になりたがることと説教すること。年とったからって自動的に人の師匠になれるなんて、とんでもない誤解ですよ。” いるよね、そういう人。 で、説教している相手もそれなりの大人であることを忘れて、気持ちよく説教してるんだろうけれど、傍から見たら見苦しいことこの上ない。 相手の立場と自分の気持をはかりにかけて、自分の気持の方が重いなんて、もう老衰の兆候なんですね。 ただ一点夏彦さんに言いたいのは、料理をしなくなって戦後の女性はだめになった、家庭がダメになったと何度も書いていますが、江戸時代の女性がそれほど炊事をしていたかというと、どうでしょう? お勝手仕事をする女中を雇っている大店などでは、もちろん奥様は炊事をしないでしょうし、長屋住まいの町人だって、毎日ではないけれど煮売り屋から総菜を買ったりしたし、外食産業(テイクアウト含む)も割と流行ってたのよ。 一日に三回食事を作っていたかというと、それはないね。 二口(ふたくち)コンロどころか竈がひとつで、ご飯を炊いて、汁を作って、七輪で魚を焼いて? 三回も食事の支度をしていたら、貧乏人ほど稼ぐ時間が無くなって困る。 農民は一日に一回おじやを作って、それを2回に分けて食べる。 おやつも、あれば蒸かした芋とか? 全部が全部そういう食生活というわけでもないのだろうけれど、一日三回食べる、一汁三菜いや五菜だなどと言われるようになったのはごく最近のはなしだし、それは現在でも結構な労働なのですよ。 やったことない人ほど要求が高い、と、常々思っているのですが、この件もそうだと思いますね。
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