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「邪馬台国」と日本人 平凡社新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 平凡社 |
発売年月日 | 2001/01/22 |
JAN | 9784582850734 |
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「邪馬台国」と日本人
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邪馬台国論争に関する二冊目。 本書は、邪馬台国論争が明治時代以降に活発化した点に着目し、この論争が発生した当時の時代背景を読み解くこと-「邪馬台国論争に、近代史学史上の位置づけを与えようとする試み」(p.5)-を目的としたものである。 著者が注目するのは、邪馬台国=九州説を主張...
邪馬台国論争に関する二冊目。 本書は、邪馬台国論争が明治時代以降に活発化した点に着目し、この論争が発生した当時の時代背景を読み解くこと-「邪馬台国論争に、近代史学史上の位置づけを与えようとする試み」(p.5)-を目的としたものである。 著者が注目するのは、邪馬台国=九州説を主張した白鳥庫吉(と、弟子の津田左右吉)である。当時の時代背景として、著者は以下の二点を指摘する。まず、不平等条約の改正を果たした日本は、その独立の根拠を「自らの文化的個性」(p.59)に求めるようになり、この要請に応える形で戦前の歴史学は発展していったこと。そして、白鳥自身は、政府が大陸への進出を志向することは「中国と同じ衰退の運命を辿ってしまう」(p.98)として批判的なスタンスを採っていたことである。 従って、白鳥は邪馬台国=九州説を唱えることで、中国王朝の影響力は九州に留まり、日本列島の大部分は「三世紀の段階で未だ中国の王朝にはほとんど知られていなかった」(p.126)ことを主張した。これは、日本固有の「文化的個性」を証明するとともに、両国の地理的・文化的切断を明らかにすることで、政府の大陸進出政策を批判する根拠にもなった。つまり、白鳥の学説の背景には、政府と白鳥自身の政治的意図が色濃く反映されていたと指摘する(ただし、それは邪馬台国=畿内説にも同様のことが言えるとも述べている)。 今日において、邪馬台国がどこにあろうと大した問題ではないと考える人は多い。しかし、その根本をたどれば、この問題は単なるロマンの問題ではなく、国家のアイデンティティーをどのように担保するのかという極めて政治的な問題であったことが明らかとなる。戦前における歴史学と国家の関係を考える上でも、勉強になる一冊である。
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邪馬台国は北九州にあったのか畿内にあったのか、まとまった説明を読んだことがなかったので手に取ったのだが、予想と違いそういった説明はほとんど出てこない。それどころか邪馬台国にまつわる直接的な言及も本の半ば過ぎまでほとんど出てこない。筆者の小路田泰直氏は近代史の専門で、いわゆる考古学...
邪馬台国は北九州にあったのか畿内にあったのか、まとまった説明を読んだことがなかったので手に取ったのだが、予想と違いそういった説明はほとんど出てこない。それどころか邪馬台国にまつわる直接的な言及も本の半ば過ぎまでほとんど出てこない。筆者の小路田泰直氏は近代史の専門で、いわゆる考古学的な研究は専門外、古代史に対する上岡龍太郎チックな興味もないらしい。 そんな作者の邪馬台国への切り口は明治以降の日本の歴史学の変遷史である。特に天皇制、憲法、議会、列強、様々な要素のせめぎ合いの中で、皇国的歴史観はどのようにしてで築かれたのか、あるいは築かざるをえなかったかを考察する。まずその切れ味にうーむと唸る。 さらにそうして形成されていった「日本史」の中で異端的とも言える白鳥庫吉の描く東洋像、古代日本像を紹介。白鳥庫吉の記紀の読み解きは初めて知ったが、これだけとってもかなり面白い。そして彼が自説と求められる古代日本像の兼ね合いから、一種の論理的必然として「邪馬台国北九州説」を唱えざるを得なかった道筋を辿る。 うーむ。知らなかったことばかりで、中々勉強になりました(あるいはなったような気がする)。当時の社会的要請と論理のパズルをカチッカチッとはめていく面白さもある。あまりにもカチッとはまり過ぎて、「本当かいな?」と若干身構える部分もありましたが…。 この本のテーマは実は邪馬台国そのものというよりも明治以降の歴史学批判、あるいはそれをきちんと修正できなかった戦後歴史学批判、さらにはそういった歴史学を形成した日本そのものへの批判で、なかなかテーマはでかい。
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