『キング』の時代 国民大衆雑誌の公共性

佐藤卓己【著】

• 販売会社／発売会社: 岩波書店
• 発売年月日: 2002/09/27
• JAN: 9784000225175

商品レビュー

2017/12/15

100万部雑誌『キング』がいかにして大衆に受容されたのか、そもそも大衆ってなにをもって大衆というか…大正から昭和初期の人々の生活やメディアの変容が分かりやすく記され、雑誌から社会を読みとくことができる一冊でした。

2016/08/02

第25回（2003年） サントリー学芸賞・社会・風俗部門受賞

日本初の100万部を達成し，「雑誌の黄金時代」を築いた伝説的雑誌『キング』―この熱狂的な支持を受けた「国民大衆雑誌」の意味を，同時代のメディア環境全体のなかで捉え直し，戦時体制における『キング』と講談社文化の役割を，それが実現した公共性の視座から解明する．近代日本おける参加＝動員のメディア史．（amazon.co.jpより）

2014/06/18

昭和前期の出版メディア，特に野間清治と彼が関わった雑誌『キング』を中心に書かれている文字からだけではなく，メディア論のアプローチから検討している。『キング』に対する著者の丹念な読み込みに基づく，詳細な記述や事例の列挙は，歴史的な研究をする上ではお手本にすべきほどだと思う。400ページ超の力作で最初はそのボリュームに圧倒されるが，終盤まで読み進める内に，従来の学説を踏まえつつ，その問題点を的確に指摘しており，言葉として適切か分からないが「痛快」である地点からは一気に読み通すことができた。いろいろな読み方が可能な書籍であろうが，少しでもメディアや昭和の前期を研究対象とする人間にとっては，必読書であると思う。