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ギリシア神話 文庫クセジュ726
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 1992/01/01 |
JAN | 9784560057261 |
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ギリシア神話
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ギリシア神話
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古代ギリシャより語られてきたギリシャ神話を、主に神話学的観点から概説した書。神々や英雄の物語をその成立背景と共に紹介するほか、古代・近代の神話解釈(研究)史についても解説する。 本書は、ギリシャ神話の概要を平易に解説したものである。ギリシャ神話の一般向け概説書は(同名のものですら)幾つも存在しているが、本書の最大の特徴は神話学の視点からギリシャ神話を解説している点にある。即ち本書はまずギリシャ神話を例に取って神話そのものの構造・成立の解説から始まり、そこから個々の神々やそれに纏わる神話、英雄伝説を紹介していくという形式を取っている。また古代(ローマ時代まで)及び近代(M.ミュラー、J.G.フレイザー、G.デュメジル)における神話の解釈(研究)の歴史についても概説しており、ギリシャ神話が時代を経てどのように理解されていったのかを分かりやすく説明している。 本書を読んで興味深かったのは、神話の分類付けと古代におけるギリシャ神話の成立史である。著者は繰り返し本書の中で神話が有機的かつ多様に変化するものであることを強調しているが、その上で「古典的な」(=形が固定した正統的なもの)神話の形式が幾つかの種類に分けられることを説く。即ち、世界の生成や神々の誕生を説く「神々の誕生に関する神話(宇宙生成神話)」(≒狭義の「神話」)、特定の神々や英雄を主人公とした(宇宙的意味を含まない)一連の挿話群である「伝説圏」、一つの話の筋の下にまとめられた「物語篇」(+事物の由来を説く縁起物語的逸話)である。神話の有機性・可変性を強調する著者はこうした概念に囚われることを戒めてはいるが、様々な要素・形式が複雑に絡み合っている神話を考察するのにこの観点は一つの参考になると感じた。 一方古代ギリシャにおける神話成立史について、著者は(神話の持つ可変性や反動性を強調しながらも)叙事詩の時代、悲劇の時代、哲学(ソフィスト)の時代の三つの段階を想定している。即ち、歴史的・民族的要素などから生み出された神話的表層が現実性を持った「人物」として描かれた叙事詩の時代、個々の挿話に対して省察を加え新たなドラマが生み出されていった悲劇の時代、そして合理的真理の象徴として神話思想そのものが否定されていった哲学の時代である。時代や思想の変遷を経て神話がどのように解釈されていったのか、またその中でどのような物語が新たに生み出されていったのかという点で、この論は非常に興味深かった。 エピソードの紹介はあるものの学問的な分析・解説がやや多めなので、全くの初学者向けと言うよりかは既に何冊か目を通してきた人向けであると感じる。一部参照典拠と合わない記述(p26:訳者注で『神統記』由来とあるのにそこには無いエピソードがある)も見受けられたが、そろそろ物語のダイジェストにも飽きてきたという人にお勧め。
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