昭和特撮大全 蘇る伝説のヒーローたち

岩佐陽一【著】

• 販売会社／発売会社: 三才ブックス
• 発売年月日: 2008/07/01
• JAN: 9784861991332

商品レビュー

2008/08/28

◆「月光仮面」と川内康範氏の創造力

◇『昭和特撮大全　蘇る伝説のヒーローたち』岩佐陽一・著（三才ブックス／税込１５７５円）

　本年四月に八十八歳で逝去した川内康範氏は「伊勢佐木町ブルース」「おふくろさん」などのヒット曲の作詞、「まんが日本昔ばなし」の監修者、政治評論家としても知られたが、やはり「月光仮面」の生みの親（原作・脚本）で語られることが多かった。本書は昭和三十年代から六十年代までの主要な国産特撮ヒーローの誕生や制作の秘話を紹介している。

　日本のテレビヒーロー番組の歴史はちょうど半世紀前、昭和三十三（1958）年二月から一年半にわたり現在のＴＢＳ系で放映された「月光仮面」から始まった。

　本書ではウルトラマンや仮面ライダーはじめ多くのヒーローも紹介されたが、パイオニアとしての「月光仮面」と川内氏の創造力に圧倒される。戦没者の遺骨引き揚げ運動にも取り組んだ川内氏は、薬師如来の脇仏・月光菩薩（ぼさつ）から「月光仮面」の名を発案した。“世のため人のため”の慈愛の精神を新ヒーローに込め、キャッチコピーに「憎むな！　殺すな！　赦（ゆる）しましょう！」とも掲げた。

　川内氏は、昭和四十七年十月から一年間にわたり放映された「愛の戦士　レインボーマン」の原作にも携わった。日本人の皆殺しを目的とした秘密結社「死ね死ね団」は、無差別化学テロ、偽札によるインフレ、産油国との関係を悪化させ、原油の輸入をストップした上で海底大地震による大津波を起こす、などを敢行する。レインボーマンがすべて回避するが、テロ、インフレ、原油、大地震といった現代日本のキーワードを作品のモチーフにした川内氏に、著者は「近未来を見透していた」と感嘆する。ＤＶＤで同番組の再生も容易な今日だが、映像に込められたメッセージは重いのである。

＜サンデー毎日 2008年9月7日号より＞

2008/08/15

月光仮面、ウルトラマン、仮面ライダー、秘密戦隊ゴレンジャー…。昭和の懐かしいヒーローを、作品が誕生した時代背景や制作秘話、制作者たちが作品に込めた「熱い想い」などを盛り込みながら紹介する。