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ミス・ホーキンズの五年日記
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ミス・ホーキンズの五年日記

バーニス・ルーベンス(著者), 武井誠子(著者)

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ミス・ホーキンズの五年日記

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 地方小出版流通センター
発売年月日 1996/09/01
JAN 9784946516047

ミス・ホーキンズの五年日記

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2023/06/24

例によって均一棚で100円だか200円だかで拾った小説。タイトルに「日記」とあったので、目にとまった。 そして、帯の文句には、こうある。 ブッカー賞最終選考候補作 日記は命令する ...

例によって均一棚で100円だか200円だかで拾った小説。タイトルに「日記」とあったので、目にとまった。 そして、帯の文句には、こうある。 ブッカー賞最終選考候補作 日記は命令する 失われた青春を取り戻せ、と 定年退職の日、ミス・ホーキンズは自殺を考えた。命令してくれる人を喪失したら明日からは生きていけない。だが餞別に贈られた5年連用日記が、彼女の人生を変える。見失っていた自分自身を取り戻すための、哀しくも滑稽なミス・ホーキンズの挑戦。 ------------------------------------------- 新刊本屋に行かない自分は、小説選びなんかも適当で、出版社のマーケティングやトレンドなんかも一切気にしない。新刊小説の情報は、ブックオフで話題作の棚を「ふーん」と眺める程度だ。 だから、最近は小説選びも場当たり的で刹那的。興味のある題材(「日記」とか)がタイトルに含まれているとか、旅先だった都市が舞台となっているとか、要はとてもいい加減。そもそも、本棚はノンフィクション物で一杯で、書店で小説を手に取ること自体少ない。そして買っても、そのまま積ん読となる小説本が山のようにある。 今回の『ミス・ホーキンズの五年日記』を検索してみると、レヴューの類いが一切ない。Twitterの検索でも出てこない本など、今どき珍しいのではないだろうか。しかも初版は1996年と相応に時が経っている。著者のバーニス・ルーベンスはイギリス人でウェールズ人。アイルランドもスコットランドにも行ったが、ウェールズはまだ未踏。イングランドに近しいくせにウェールズ語に固執している風変わりな印象を持っていることからもこの本に興味がわく。 前段の前段だけならネタバレにはならぬだろうと、小説の内容に触れると・・・ 定年退職後は日記の指示に従うことに生き甲斐を見いだす老婦人が主人公。これでは何を言っているのかわからない。誰がその日記を書いているのかというと、当然主人公である。自分で書いたものに従うのなら簡単じゃないか、と思うだろうし、この日記は「予言の書」のようなファンタジーの産物でもない。 なのに、主人公は自分で書いたものに従い、達成できるとチェックをするのが快感となっていく。職場で命令されることに慣れており、孤児院育ちで幼少の頃から自分で何一つ決めることのない境遇にいた彼女が、日記の命令に頼って生きていく、その辺りの物語の処理が絶妙だ。 まあ、言ってみれば日記は「目標管理シート」なのであるが、友達もおらず、この歳まで人と密接な関係を築くことのなかった孤独なご婦人がやがて他者と奇妙な関係を築くようになる。手始めは鏡にモーリスと言う名前をつけ、自分の顔が写る場所に髭を書き込み、向かいに座って話をしながら食事を採り始める。同居人の獲得したわけであるが、異常である。 言ってしまえばサイコパスなのだが、侘びしい老婦人の物語なので、鬼気迫ってくる感じはまったくない。それ故に、息苦しさは感じつつも読み手は主人公に同情的になってしまう。物語は怪しい雰囲気を帯びていき、彼女の頭の中では独りよがりな見立てが膨張していくが、老婦人の考えることだから人畜無害。妙だけどスルーできる。サイコパスでパラノイアっぽい彼女の振舞いが、そのキャラクター故に薄められてしまうのだ。 こうして独特の世界に引き込まれていくのが、なかなか快感であった。最終章はなかなかスリリングな展開が待っていてページをめくる手が早くなった、そちらも楽しめる。 <その他の書籍紹介> https://jtaniguchi.com/tag/%e6%9b%b8%e7%b1%8d%e7%b4%b9%e4%bb%8b/

Posted by ブクログ

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