「シオン長老の議定書」の大嘘 世界の不都合をすべてユダヤ人のせいにする陰謀計画書

ラビ・アブラハムクーパー, スティーヴン・レオナルドジェイコブス, マークワイツマン【著】, 滝川義人【訳】

• 販売会社／発売会社: 徳間書店
• 発売年月日: 2008/06/30
• JAN: 9784198625481

商品レビュー

2023/05/18

個人的な感想としては、有益であるかどうかという視点から★2つだが、多くの人が手に取る機会が増えた方が良いと思うため、あえて戦略的に★3つとしておく。

前半は陰謀論に対する情報もあり論理的で非常に分かりやすい。考察も的を得ている。
ただ、各章の反論に関しては、反論の論拠が、ユダヤ教の教義、すなわち旧約聖書やタルムードやトーラなどの各文書や、ユダヤ教における過去の文書や教義的な歴史をもとにしているため、悪意のある反ユダヤ主義者や陰謀論者に対する反論としては説得力が非常に弱い。
なぜなら反ユダヤ主義者はそもそもユダヤ教の経典など読まないし、ユダヤ教における信仰内容や経典の情報は信用しないと思われるため。
反論するのであれば、「実際に議定書に記載の内容を行動した証拠がない」ことや、
議定書内における矛盾、別の真犯人の検挙など、ユダヤ人が制作したものではない証拠を上げねばならず難易度が高い。

ところどころには、たとえば過去の長い期間、フリーメーソンはキリスト教徒を主としたメンバーのみが参加できたものであり、フリーメーソンの起源も17世紀のイギリスである、といった史実で反論しているため説得力がある。

またユダヤ教には教皇は存在しない、
一神教であるユダヤ教がわざわざヒンドゥー教のヴィシュヌをたとえに出すことはあり得ない、といった反論があり、そこから導き出される、
「製作者はキリスト教の知識をもとにしている」という主張はとてもうなずける。

私は同じタイミングでヒトラーの『わが闘争』を読んでいるが、ヒトラーの主張が見事にこの議定書に沿っていること、
そしてヒトラーがとったおぞましい行為は、まさにこの本の主張を参考にしているという点がわかる。
その意味で、この偽書が歴史において世界に与えた悪影響は計り知れないほど大きい。

2015/04/28

ユダヤ民族は次から次に現れた大嘘の犠牲となってきた。
経済的、軍事的、政治的、宗教的あるいはその他の理由で、スケープゴートの必要性のようなものが西洋文明の文化的景観の中心を占めてきた。過去2000円にわたり、過激化するそうした憎悪の主な受け手はユダヤ人だった。