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夢の展翅
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夢の展翅

草森紳一【著】, 井上洋介【画】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 青土社
発売年月日 2008/07/08
JAN 9784791764167

夢の展翅

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2008/07/09

あまりにも形而下学的な自分自身にホトホト愛想が尽きて、そんな自分と訣別したくて、自宅謹慎していました。 あっ、ちょっと嘘・少しだけ外出。2週間ばかり北と南のアメリカ大陸を、レレレのレーと、縦断してきました。ポートランドにはアーシュラ・K・ル=グウィンに会いに行ったり、ニューヨー...

あまりにも形而下学的な自分自身にホトホト愛想が尽きて、そんな自分と訣別したくて、自宅謹慎していました。 あっ、ちょっと嘘・少しだけ外出。2週間ばかり北と南のアメリカ大陸を、レレレのレーと、縦断してきました。ポートランドにはアーシュラ・K・ル=グウィンに会いに行ったり、ニューヨークでは念願だったヴィレッジのとあるジャズクラブで歌ったり・・・まあそんなことはどうでもいいんですが。ともかく、自らに課したのは、人生の三分の一を生きてきて、今まさに明らかに堕落してきた自分を見つめ直す必要多いにあり!と自覚したことで、想像力と創造力を、もっともっと鍛練しなきゃ!ということで、最低一ヵ月は何も書かないこと。 ただ黙々と読書して思考して自らの内なる声を聞くこと、なんちゃって、ちょっとカッコつけすぎね。 そんなこんなで、今日、ようやく47日ぶりに、ムラムラと何か書きたくなったのです。 今日その日が、なんと敗戦記念日。そう、でも、けっして終戦記念日、なんかではありません。未だに新聞・TVはじめ多くのメディアが、終戦記念日という没主体的な言い方をしていることが信じられません。太平洋戦争と呼ぼうが第二次世界大戦と呼ぼうが、単に偶然に終わった訳ではなく、アジアの解放闘争に負け連合国の圧倒的な攻撃に負けて降伏したのだ、という歴史的事実を隠蔽しようとしているとしか思えません。 別にナショナリズムっぽく言っているのではありません。戦後63年も経っているのに、真実の歴史認識も持たないのは、英霊(!)に対して失礼千万だと思いませんか。 この英霊という言葉もふざけた言葉で、戦争犠牲者というなら長崎や広島で原子爆弾で亡くなった人たちもそうであるはずだし、もとより非戦闘員である長崎市民と広島市民を虐殺したアメリカは、国際法違反で厳しく罰せられるべきはずが、戦勝国だから何やってもお咎めなし。 それより何より原爆投下は、日本の軍部とヒロヒトが、敗北を自覚して、今守るべきは国民の生存を第一に優先すべきなのに、国体の意地、じゃなかった維持、とかなんとかグズグズしていた時、ちょうど完成したこの新兵器をどこかで実際に爆発させてどれだけ惨たらしく何人殺せるかを見たくてムズムズしていたアメリカが人種差別(この場合は黄色人種蔑視!)もあって絶好のチャンスとばかり実行したことを、いったい何人の人が知っているのだろうか。 戦争終結のために止むを得なかった、とか、平和を取り戻すためには必要だった、などの認識はまったくの誤解というより嘘だ。 ああ、もう、ダメ、8月15日というと、あの戦争で殺された人たちが乗り移ってくるみたいに、いたこ、のようになって、私は私でなくなるのです。 ところで(やっと本題です)草森紳一は、私が熱狂的に愛する作家の一人でした。8月10日の日本経済新聞に加藤徹明大教授がこの本の書評を書いていて、その中で、3月没、という表記を見て驚愕する。 全然知らなかった。心不全で亡くなったのは3月20日だという。享年70歳。 中学一年の時、古本屋で見つけてすぐに虜になったのが『ナンセンスの練習』(1971)。 初めはチンプンカンプンで困った。だって、ビートルズと極楽浄土とか、ロバート・キャパの白痴性について、など訳のわからないテーマで書かれたものばかり。 でも中に私の好きなアンリー・ルソーが三篇にわたって熱く語られていたのを読んでいっぺんに好きになってしまった。 ただ、好きになって近づけば近づくほど、彼の厖大な中国思想の教養にはとても着いて行けないことを自覚せざるを得ませんでした。 このまま遠ざかって行くしかないのかな、という時に、外箱にハーケンクロイツ(かぎ十字・卍)を配して、ヒトラーの切手やメッサーシュミットの美しい機体がグラビアで付いた、文化を政治に激しく利用したナチス・ドイツを分析した、あの傑作『絶対の宣伝 ナチス・プロパガンダ』全3巻(1978−1979)が出されて、また、よりを戻した感じでした。 この本は、50余年にわたり記録してきた彼自身の見た夢と中国古典のウンチクとのコラボで、実にみごとな幽玄的に語られた美しい本です。 しばらくは草森紳一の本を全部ひっくり返して読むことになりそうです。

Posted by ブクログ

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