いま、アメリカの説教学は 説教のレトリックをめぐって 説教塾ブックレット4

平野克己(著者), 説教塾編(著者)

• 販売会社／発売会社: 日本キリスト教書販売
• 発売年月日: 2006/11/01
• JAN: 9784873954776

商品レビュー

2016/07/14

著者がデューク大学神学部で学んだ、現代アメリカの説教論が紹介されている。ただし、著者も断りを入れているように、黒人や（おそらく）保守的福音派ではない、白人メインラインの流れに限定している。

スリーポイントに代表される伝統的な演繹的説教から、会衆を解釈することから出発する帰納的説教、そしてパフォームすることを重んじ「物語の説教」とも言われるニュー・ホミレティクス、さらには教理や礼拝共同体を重視するリシャーの立場が紹介されている。
後半は、それぞれの説教例として、クラドック、バーバラ・ブラウン・テーラー、ウィリモンの説教とその紹介インタビューが収録されている。

説教は、なにか聖書から取り出した命題を聴衆に教え込むことではなく、み言葉が礼拝共同体の中で生きて働く「出来事」になるために奉仕する営みであることを教えられた。そしてその「出来事」は、おそらく、すでに存在している恵みの現実に聴衆が「気づく」ことによって起こるのだろう。
カール・バルトを読み直したくなった。