前世療法

セバスチャンフィツェック【著】, 赤根洋子【訳】

• 販売会社／発売会社: 柏書房
• 発売年月日: 2008/06/05
• JAN: 9784760133482

商品レビュー

2024/07/07

最高…

ほんとに声が出た。
そんなことありえない、ということがずっと起こり、最後に論理的な説明がなされる。だのに、最後の最後に本当にこれは奇跡だったんじゃないか、っていう仕掛け。
そもそもの物語がすごいジェットコースターで二転三転し、感動を台無しにするどんでん返しからの再びのどんでん返しだったせいもあり、最後のエピソードにそっと付け足された感動すぎるおまけに、さらに感涙。

最後の方、アバの歌やアイスクリームには、ゴールデンスランバーを思い出してしまったな。こう、ささいなエピソードが最後にものすごい輝きをもって追い打ちをかけられる、あの爽快なやられた感。

わたし、きっとこの本を忘れない。
ゴールデンスランバーみたいに、ときどき必ず読み返す、そんな本に巡り会えて感謝。

暑さでぐったりして外出もやめて、涼しい室内で本でも読み耽るかという週末の素晴らしい感動爆弾。ナツはこれだから、嫌いになりきれないんだよ。

2018/10/07

生まれる以前の殺人の記憶を持つという病身の少年。心に傷を負った中年男性の主人公。この前に読んだ本も父と少年の組み合わせだったな。母親不在、あるいは悪い母親、孤独な少年と不幸な父親。まだ二作を読んだだけだが、この組み合わせが好みの題材なのだとしたら、この作者、病んでいるのかも。どちらも話は面白いのだが、読んでいて気が重い。

2018/02/20

「治療島」と同じ作者だったので。

なにか物足りない。
前世療法、というタイトルから想像したほどは前世療法が話の中心ではなかった。
期待したよりも比率が少し低い感じ。

脳腫瘍を抱えた少年の導きで、次々と死体を発見していく場面も比率が低かった。
もっとこの死体が連続殺人の犯人を暴く重要な要素になるのかと思っていた。

元ポルノビデオの制作者、悪の世界への道案内のボルヒェルトがもうちょっと活躍してほしかった。
いきなり車の故障で戦線離脱とはひどすぎる。

最後の奇跡は予想できたが、私の求めていた奇跡は癒しだったし。

私の妄想通りでなかったとしても、
ペットのためのミサに飛び込んでしまったのは面白かったし、
スーパーの掲示板が犯罪に使われているという設定には驚いたし、
最後の浜辺の場面は美しかった。