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北のはてのイービク 岩波少年文庫152
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2008/05/16 |
JAN | 9784001141528 |
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北のはてのイービク
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北のはてのイービク
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商品レビュー
3.9
10件のお客様レビュー
#82奈良県立図書情報館ビブリオバトル「食」で紹介された本です。 2017.9.16 https://www.library.pref.nara.jp/event/2443
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北極に暮らすイービクの、生死をかけた旅の物語。 父を亡くしたイービク一家は、飢えに苦しんでいた。狩り手がいなくなったからだ。そこで、イービクは飢えから家族を救うため、本土の人々に助けを求める旅に出る。旅の途上、氷の上を注意深く歩いていると、シロクマと遭遇し………。北極で生きるこ...
北極に暮らすイービクの、生死をかけた旅の物語。 父を亡くしたイービク一家は、飢えに苦しんでいた。狩り手がいなくなったからだ。そこで、イービクは飢えから家族を救うため、本土の人々に助けを求める旅に出る。旅の途上、氷の上を注意深く歩いていると、シロクマと遭遇し………。北極で生きること、狩りをして暮らすことの厳しさと豊かさを感じられる。 冒頭、お父さんとの唯一のシーン。セイウチ狩りをしているときにお父さんが亡くなる場面を、イービクは直視する。その張り詰めた場面に目が釘付けになるし、同時に目を逸らしたくなる。その顛末は本当にハラハラして、一気にこの物語、北極で生きるイービクたちの世界に入りこむことができた。 狩り手であるお父さんを亡くし、飢えに苦しむ一家の様子もしっかりと描かれている。大切な犬を殺し、食料にすること。腐ったアザラシでも口に含もうとすること。ロープを噛むこと。天候が思い通りにいかなくて、氷が固まらなくて狩りに出かけられずに食料を手に入れられないこと。その苦しさは、イービクたちに心を寄せながら読んでいるうちに、よく伝わってくる。だから、どうしてイービクが危険で無謀とも思える旅に出かける必要があったのかということもよくわかる。もうそれは、切羽詰まった旅なのだ。 狩りをして暮らすというのは、とても厳しい世界に生きることだ。冒頭の父の死は、人間は狩る側でもあり狩られる側でもあることをまざまざと教えられる。そして、絶えず今日や明日の食料の不安を抱きながら生きていくことも意味する。もちろん、狩りができなかったら飢えに苦しむことになる。 こうした厳しさの中で、身を寄せ合って生きるイービク一家の絆に感動する。旅に出る決意をし、シロクマとの対峙を乗り越え、生死の淵をさまよったイービクの成長と喜びを感じられるのも心地よい。 この本は、児童文学でありながら、読者を子ども扱いせず厳しい現実を描き出している。また、それを乗り越え成長するイービクの姿を通して、深い満足感を子どもたちに与えてくれる。 岩波少年文庫にしては、比較的読みやすく、文章量もそこそこといったところ。4年生くらいにどんどん勧めたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
凄かった。薄いからすぐ読めそう、と選んだ私が浅はかだった。 物語のパワーと薄さは関係ない、とよく分かる一冊。 岩波少年文庫における本作の衝撃は『はるかな国の兄弟』にも勝るとも劣らない。 開始3ページで始まる強大な悲劇。 セイウチのツノが完全にお父さんを貫いてるって、そんな。 そこから始まる飢餓の表現が徹底していて、読んでる私も体調が悪くなりそうだった。 幼い弟妹は事実を理解していないが、彼らを飢えさせるわけにはいかない。それが辛い。 主人公イービクが貫くのは、年老いた祖父と、弱い母親と同じく、家族を食べさせる力は無いけど、飢餓の現状をその手に委ねられている 大人 の視点だ。 犬を少しずつ減らしていく状況も辛い。(犬を繋ぐ革紐もみんなでいただきました←ここが一番アーッ☆と思った…) 犬ソリを無くすデメリットはあるも、他に手段はない。何よりその選択が悲しい。しかしそれも根本的な打開策ではないので、すぐにまたスタートに戻る、の非情さ。これが大自然です極寒です。なんの装飾もなく淡々と進む筆致に、ただイービクと家族の心に寄りながら、身を捩って読んでいく。 獲物がなければ、食糧はもちろん、脂もないし、新しい服も作れない。自然は過酷だ。 そして訪れる転機。 旅立ちに際して持っていくのは、セイウチのツノなんだね。お父さんを殺したものがイービクを守るんだなあ…うう。 勇気、戦い、勝利。 そのあとの、動かないと死ぬけど、既に空腹と疲労で死にそうで動けない、という状況が1番の読みどころだと個人的には思った。 なんか、わかる、わかりますよ…! 親戚の大人達に再会し、狩を褒められ、飢餓を脱出。 飲んだこともないのに、獲物の血や油がどれほど滋養や安らぎをもたらすか、なんとなく想像できる不思議。 そして獲物を運んでの凱旋。 帰宅を喜ぶ家族。本当によかった。 この大人たちとの会話にたびたび現れる、エスキモー独特の言い回しがとても謙虚で素敵だった。 はっきり物事を訊いてはいけない、ということも。 北の大地に生きる少年の成長。 薄い本でここまで心が動かされるという素晴らしい見本だった。 子供にも大人にもぜひ読んでもらいたい一冊。 作者の波乱万丈な人生にも興味がある。 挿絵も見覚えあるなあと思ったら、ピッピのイラストと同じ方だった。こういうシンプルな線が好きだなあ。
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