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ドストエフスキイの生活 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2005/04/01 |
JAN | 9784101007038 |
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ドストエフスキイの生活
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ドストエフスキイの生活
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商品レビュー
3.6
7件のお客様レビュー
ドストエフスキイという文豪の苦難に満ちた知的苦悩を期待して読むと、肩透かしを喰らわされる。 「ドストエフスキイの生活」とは、とんでもない男ととんでもない女たちとの破滅的生活を意味する。 そのどこにも知的苦悩のかけらもない生活から偉大な文学が生まれる奇跡。 小林秀雄は、ドストエフス...
ドストエフスキイという文豪の苦難に満ちた知的苦悩を期待して読むと、肩透かしを喰らわされる。 「ドストエフスキイの生活」とは、とんでもない男ととんでもない女たちとの破滅的生活を意味する。 そのどこにも知的苦悩のかけらもない生活から偉大な文学が生まれる奇跡。 小林秀雄は、ドストエフスキイの無茶苦茶な生活を蘇らせながら、中原の破茶滅茶な生活と彼の天才を想起している。 無限の前に腕を振る二人の天才。 この二人に鍛えられて、小林もまた天才になった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
先日読んだ「地震と社会〈下〉(外岡秀俊著)」に本著について言及があったので図書館で借りて読んでみた。 もう何十年前になるだろうかドストエフスキーとの関わりは「罪と罰」を読んだことくらいだ。 1821年生まれのドストエフスキーは1850年から4年間シベリア流刑となっていたんだ。2度結婚するも生活は安定せず、自分で寄稿する雑誌の発行もうまくいかず、一方、ルーレット(ドイツのバーデンで)で持ち金を擦ってしまい妻や親戚、知人に金を無心する日々が続く。 そんなかで世界的な名著を書き上げるところがすごい。本著には「「罪と罰」について I・II」という論文が収められている。「罪と罰」は主人公ラスコオリニコフの内面をはじめ登場人物の内面が天才的な構成力で書き上げられているという。 ドストエフスキーの著作活動は主に40歳頃から亡くなる60歳(1881年)までの20年ほどとしても安定した著作期間の短さに驚く。あらためてドストエフスキーのすごさを感じることができた。また「罪と罰」を読みたくなる一冊だ。
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剣道で何回打ち込んでも軽く否され、鮮やかな一本を返される、そんな心境だ。この本を読んだのが3回目か4回目、正確には何度目か覚えていない。いつも、ドフトエスキーが新婚旅行で癲癇を起こしながら借金に追われて博打に狂う場面で「そうだそうだ、こんな酷い無茶苦茶な奴だったんだドフトエスキー...
剣道で何回打ち込んでも軽く否され、鮮やかな一本を返される、そんな心境だ。この本を読んだのが3回目か4回目、正確には何度目か覚えていない。いつも、ドフトエスキーが新婚旅行で癲癇を起こしながら借金に追われて博打に狂う場面で「そうだそうだ、こんな酷い無茶苦茶な奴だったんだドフトエスキーは」と前に読んだことを思い出す。回を重ねる毎に彼の小説を書くことへの拘りと創作の経緯が伝わってくる。初めの頃は、何が何だかわからず、遠くて寒いロシアの活劇でも見させられているような気持ちになり、途中で読むのをやめた覚えがある。彼の人生の振幅の激しさと小林の難しい解説に自分の思考力と気持ちがついていけず否された、そして読み続けることを諦めた、そんなことが何度かあった。今回はじっくり読んでドフトエスキーの根暗で弱い生き様と強靭な創作への意志に少しの納得と親しみが湧いてきた。読む度に評論家小林を経た小説家ドフトエスキーへの理解が深まっているような気がする。その間いろいろなものを読んできた自分の眼が本物の評論家が描く文章や表現により不世出の作家の本質に迫り共感できるようになってきたと思いたい。ドフトエスキーの創造欲の核心発掘に‥‥。監獄や流刑地での恐怖と焦燥・諦念・苦悩、借金と賭博そして癲癇と恋愛、濃密な描写の分析が正鵠を得ている、表現も無駄なく視点や切り口が斬新で創り上げる世界の凄さには息をのむ、相変わらずだ。偉大な小説家に評論で戦いを挑む捨て身の覚悟が滲む、評論というのはこれ程迫力のあるものか。ドフトエスキーの人生の軌跡を辿りそこに仮託して己れの透徹した思考で生きることの意味を究明する、それを読者に焼き付けていく、流石に小林秀雄である。
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