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ルポタージュ出生前診断 生命誕生の現場に何が起きているのか? NHKスペシャルセレクション
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本放送出版協会 |
発売年月日 | 1999/06/09 |
JAN | 9784140804322 |
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ルポタージュ出生前診断
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障害を持って生まれる子どもは不幸と決めつけるべきであるか。これは、答えの出ない難しい問題であると思う。 出生前診断とは、赤ん坊を授かった際に胎児の状態を検査し、障害の可能性等の情報を得ることである。まるで健康診断のように妊婦は当たり前のように受けられる時代となっている。きっとそ...
障害を持って生まれる子どもは不幸と決めつけるべきであるか。これは、答えの出ない難しい問題であると思う。 出生前診断とは、赤ん坊を授かった際に胎児の状態を検査し、障害の可能性等の情報を得ることである。まるで健康診断のように妊婦は当たり前のように受けられる時代となっている。きっとそこにあるのは"健康な子ども"が生まれる保証が欲しいという親心であろう。 しかし、検査が出来た背景には優生思想や経済的負担の軽減のための出生前のふるい分けと言った、非常に合理的な思想が潜んでいる。 よく深い考えや知識を持たずして安心を得たいがために検査を受け、ひとたび"障害"の可能性、もしくは確実性が出てきたときにどう捉えるのか。上記の合理的な思想に留まらず、障害を持つ子供を生むことはその子ども自身、親自身、果ては社会の不幸へと結びつく、という見えない理が働いてしまっているかのような世の中になっている。そうして、中絶を選ぶ親が確実に、検査の無かった時代と比べようの無いほど増えている。 この本で問われているのはそう言った出生前診断のそもそもの成り立ち、そしてこの診断の現状、更には障害を持つと言う事が"不幸"と決めつけられるかと言う事である。 診断を受けて、危険性が出たときに堕胎という選択をすること。それは多いに個人の自由である。倫理に反する、という考えは理想論でしかない。親となる身としては(なった事は無いが)健康に生まれて欲しい、一生障害と付き合うなんてかわいそうな事だと思う事は自然なことである。 ただ、その選択に社会側・医療側の誘導的な影響が強くあるべきではないと感じた。いや、成り立ちなどを踏まえると、検査が存在すること事態が詰まる所障害を抱えていた=堕胎への布石となっているのでは無いか。 更に、印象に残った一文がある。"障害を持つこの子の親になって、本当に幸せだと思うのだけれど、まわりは無理しちゃって、頑張り過ぎと言った目でみてくる。"記憶を元に書いているので一言一句性格ではないが、幸せは各個人が決めること。本書でも障害を持ちながら生きている事が本当に幸せだと感じる人々の話も多々出てくる。自分が持つ"幸せ"の価値観の尺度だけで物事は測れない、色々な幸せの形があると言う事を深く考えるべきであると感じさせられた。そのような事実があることを知っている親と言うのは、どれ程いるのだろうか。 更に、防ぐ、減らす、という事に強く従事し治す、付き合う、という医療の形が軽視されつつある重度の障害があると言う事。一体、医療とはなんのためにあるのだろうか。国家の経費を抑えるためなのか、それとも一人一人がより良い毎日を送るためのものか。 書きたい事がまとまらないが、それほど、様々な点で、深く考えさせられる本であった。一人の命を奪うこと。それは、余りに合理的な考えで簡単になされるべきではないはずだ。 必要があるからこそ技術は発達していく。どんどん、技術は人々の倫理を通り越していく。だが、一歩立ち止まってその存在について深い考えを巡らせることが人間らしくあるために必要な事なのではないだろうか。そんな考えを抱かせる本であった。
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