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一休和尚大全(下)
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一休和尚大全(下)

一休宗純【著】, 石井恭二【訓読・現代文訳・解読】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2008/03/30
JAN 9784309230825

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2011/08/18

一休宗純の作品とその来歴を、わかりやすい訓読と現代文訳で紹介した大著。 卒論で読んだ資料の総評の続き。 私がもっとも感心し、また論文を書く上で影響された一休に関する文章は、加藤周一氏のものであった。 氏の「一休という現象」と題された論文(?)は素晴らしかった。一休の特異さがわ...

一休宗純の作品とその来歴を、わかりやすい訓読と現代文訳で紹介した大著。 卒論で読んだ資料の総評の続き。 私がもっとも感心し、また論文を書く上で影響された一休に関する文章は、加藤周一氏のものであった。 氏の「一休という現象」と題された論文(?)は素晴らしかった。一休の特異さがわかりやすい文章で明確に示されている上に、論理の展開に無理なところがなく、それでいて思索に富んでいるのだ。 加藤氏のこの文章が、私の卒論の根っこになっている部分は大きいと思う。 今思えば、それだけ影響を受けた人であるのに、なぜもっと彼の一休に関する著作を探さなかったのだろうと不思議でならないくらいだ。 水上勉氏は、本業が小説家であるというだけあって、一休の心情に寄り添い、その心境に思いを巡らすような文章が多かった。 なので、資料としての活用にはあまり向いていなかったのだけれど、一休のことを知りたい、という入門希望者には、この人の著作がもっともおすすめできると思う。 ちなみにこの方も、結構な「一休好き」オーラが出ていた(笑)。 あとは簡略に、私の感想をメモ程度で。 原田正俊氏の著作は、中世の禅社会を理解するうえで、非常に役に立った。室町時代の禅林社会の腐敗の理由として、そもそも京都五山が成立した必然性に納得できたことは、私にとってとても大きなことであった。 土井哲司氏の「「自戒集」の自戒」の論文も、一休の諸刃の剣である批評精神について、納得できる説明がされていて、とても助かった。 たぶん、この論文がなかったら、私は「自戒集」についてどう書いていいか相当悩んだと思う。だって、「自戒集」っていまだに現代語訳がないんだもの!  「自戒集」の現代語訳は、今後の一休研究のために絶対必要です! どうか、誰か急務で訳してください(他力本願)! そして、この本の著者石井恭二氏。この本では主に、一休の詩の引用について多く参考とさせてもらった。 しかし、正直なところを言うと、『年譜』の注釈に関しても詩の注釈に関しても、この本はやや中途半端な印象を受けた。どうせならもっと、判りやすさに徹するか、きっちり細部まで説明し尽くすかのどちらかにしたほうがよかったと思う。 とはいえ、『年譜』も『狂雲集』も『自戒集』も収録してあるこの本が手元にあると、非常に便利であった。また、一休研究の著作物の中で、おそらくもっとも刊行年数が新しいであろうこの本が、これほど力の入った盛りだくさんな内容であることは、一休の研究において、非常に喜ばしいことであると思う。 というわで、以上がお世話になった資料の数々とその著者に関する覚え書きであった。 卒論が書き終わった今、たくさんの研究の上に、自分の論文があることを実感している。少しずつ少しずつ、たくさんの研究が積み重なっていった結果の一番上に、私も小さな小さな煉瓦をコトン、と積めたのかな、と思う。 願わくば、私の論文が、未来の誰かの研究の、わずかでもいいので助けとなりますように。そして、もっと一休さんの研究が進みますように!

Posted by ブクログ

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