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未来派左翼(上) グローバル民主主義の可能性をさぐる NHKブックス1106
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 日本放送出版協会 |
発売年月日 | 2008/03/27 |
JAN | 9784140911068 |
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未来派左翼(上)
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商品レビュー
4
5件のお客様レビュー
左翼の衰退の理由を明らかにし、新たな方向性を提示する。左翼教条主義に辟易する立場として納得できる記述が多い。 本書は、ソ連などの社会主義を「資本主義が国家主義的に変容を遂げただけ」と指摘する。左翼の指導者は経営者になりたいだけであると。私企業の経営者になるわけにいかないので公営企...
左翼の衰退の理由を明らかにし、新たな方向性を提示する。左翼教条主義に辟易する立場として納得できる記述が多い。 本書は、ソ連などの社会主義を「資本主義が国家主義的に変容を遂げただけ」と指摘する。左翼の指導者は経営者になりたいだけであると。私企業の経営者になるわけにいかないので公営企業の経営者になったと(73頁)。 その上で中央集権型の官僚支配の社会主義ではなく、下からの共同を志向する。公ではなく、共を志向する。共とすべきものを国家所有としてしまったことが間違いであったと。この姿勢には賛同する。この場合、難しい点は新自由主義思想の扱いである。新しい公共や「自助・共助・公助」などの視点は政府の支配を否定する問題意識については未来派左翼と重なるところも多いのではないか。左翼が新自由主義を頭から毛嫌いすることは偏狭ではないか。 一方で新自由主義勢力の進める民営化などとは対立する。共に属するものを私物化するものであるからである。資本主義の原始形態もエンクロージャー(囲いこみ)であり、共有地からの追い出しであった。集権的な動きを批判し、下からの共同を志向する点で一貫する。 本書は、左翼が迷信にこっそり目配せし続けると批判する(76頁)。たとえばゲノム計画に反対するために「私は神の被造物だから」と主張する傾向がある。これは日本では原発に反対するために福島が放射能で汚染されて人が住めない土地でないと困るとする放射脳カルトに重なる。
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[ 内容 ] 左翼に延命の途はあるのか? 疲弊した左翼をいかに再生するか? 左翼政権を支えた社民的な思考モデルが時代遅れになる一方で、シアトルやジェノヴァの抗議デモ、メキシコのサパティスタの蜂起など、グローバル資本に対抗する新しいうねりが生じている。 ベルリンの壁が崩壊した一九八九年以降、全世界が“帝国”化へ向かうなかで起きた様々な出来事を考察し、現状に即応できない社会主義・社民的思考に引導を渡すとともに、「みんなでひとつになる」ことを目指す柔軟な闘争形態に、グローバル民主主義への新たな希望を見出す。 [ 目次 ] 1 さらば社会主義(社会主義はなぜ頓挫したのか―壁崩壊から考える;“共”はいかに発見されたか―パリのストライキから考える;“帝国”時代の戦争をどう捉えるか―ユーゴ紛争から考える) 2 マルチチュード出現!(運動はどう変化したのか―シアトルのデモから考える;ネットは運動にどう影響したのか―サパティスタの蜂起から考える;なぜ暴力は正当化されるのか―ジェノヴァのデモから考える;労働はどう変貌するのか―移民問題から考える) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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『未来派左翼』は、イタリアの現代思想家アントニオ・ネグリのインタビュー本。<帝国>、マルチチュードなどネグリ哲学の重要概念の解説でもあるし、ベルリンの壁崩壊以降の現代世界情勢に対するネグリの見解表明ともなっている。日本語タイトルの『未来派左翼』は、いかにも旧左翼青年受けを狙ったよ...
『未来派左翼』は、イタリアの現代思想家アントニオ・ネグリのインタビュー本。<帝国>、マルチチュードなどネグリ哲学の重要概念の解説でもあるし、ベルリンの壁崩壊以降の現代世界情勢に対するネグリの見解表明ともなっている。日本語タイトルの『未来派左翼』は、いかにも旧左翼青年受けを狙ったようなタイトルで、格好悪い。原題の「Goodbye My Sosialism」の方が、語感がよいし、本の内容に近い。当書では、左翼の死が宣告されている。 社会主義の計画経済は、国家を一企業と見立てている。社会主義国家を牛耳る政治家と官僚は、資本家、経営者となり、国民は労働者となる。社会主義は公正平等をうたうが、国民は<公>に仕える労働者である。国家が資本を独占し、国民を搾取している故に、社会主義の方が、資本主義より性質が悪いかもしれないという。 時代遅れの左翼、社会主義に対して、ネグリが対置するのは、マルチチュードを始めとした一連の思想である。マルチチュードとは、個人ではなく、常に複数の差異である。個人を搾取する<公>でもなく、自己利益の拡大を求める<私>でもない<共>、異質な他者たちとの連帯が、マルチチュードの価値となる。連帯とは、最も弱い者たちへの愛だと表現される。利己的な個人に代わり、愛に溢れた個人、清貧と愛が、マルチチュードの行動原理となる。 マルチチュードとは、大衆でも人民でも国民でも市民でも個人でもなく、多様なライフスタイルに構成された差異表現のネットワークであるとも言われる。マルチチュードは自ら価値を生産し、流通させる技術を持っている。 理想的すぎるようにも聞こえるが、ネグリ思想は理想論ではない。マルチチュードの想像力、自由、協働を可能にしているのは、20世紀後半出現した新しい労働形態である。19世紀的な物質の工場生産でなく、知識、情報、コミュニケーションを扱う新しい労働を、ネグリは「認知労働」と定義する。 認知労働者は、自ら情報価値を生産し、流通させるIT技術を持っている。19世紀は、資本家が財と生産手段を独占していたが、21世紀の世界は、認知労働者が資本家や経営者に先立って情報、富を創造、流通させる技術と手段を保有している。故にネグリにとって、旧来の左翼理論も社会民主主義も、時代にふさわしくないものとうつる。マルチチュードによる革命は、日々起こっているのである。
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